悲しいときには悲しみなさい

 加川良が亡くなった。僕のFacebookのウォールにその記事をシェアしてくれた後輩のおかげでその事実を知った。以前は加川良のHPはブックマークしていて時々のぞいていたのだがYahooがブックマークのサービスを廃止したときに保存し忘れたため、ここ1年くらいは見ていなかった。昨年の12月に検査入院し、そのまま4か月の闘病生活を送り、彼岸に逝ってしまったらしい。実は今、You Tubeで昨年、シカゴ大学で行われた彼のライブ動画を見ながらこのエントリーを書いているが、いや歌声は実に力強い。最新アルバムではブルーハーツの「青空」なんかもやっていたんだ。全く知らなかった。この前のエントリーで岡林のライブに行くかどうか迷っている話を書いたが、こりゃやはり今の岡林を見ておく方がいいと思い始めた。

 おっと加川良だった。彼が宮崎で初のライブを行ったときは、幸運にも見ることが出来た。その翌年にも続けて宮崎に来てくれて、そのライブも見ることが出来た。最初に見たときのエントリーをここに再掲する。『ストームブリンガー加川良 初ライブイン宮崎』というタイトルでアップした。

 いや予想通りというか、予想以上に楽しく感動的なライブでした。昨日は鹿児島で大熱演してるはずだから、コンデションはどうかなと心配していたのですが、いらんお世話でした。ということで加川良初ライブIN宮崎のレポートです。

 昼間は父の17回忌があり、まだ若いお坊さんから『最近心から“ありがとう”と言ったことがありますか?』と人間関係の本質を鋭くえぐる質問を受け、『うーん、“ありがとう”といえば水前寺清子!』と苦し紛れの連想ゲームなどをしていたので、ライブ会場に向かったのは、開場時間の5分ほど前。一緒に行く友人夫婦にメールすると既に会場前で人の列が出来てるとの事。流石は良さん、宮崎初だけに熱狂的マニアが殺到してると思い、大急ぎで会場へ。途中、加川良の何たるかを一切理解していない配偶者(昨日のブログ参照のこと)が、白髪頭のカップルやリュックを背負った電車男風の人を見かけると「あの人も加川良に行くのと違う?」と人の不安を煽るようなことばかり言うので、無視してひたすら歩いた。

 会場は有名な割烹の店の横の路地からすぐの所にあった。1階に本日のライブの案内があり、間違いなく加川良の名前がある。2階に上がり、チケットを渡して中に入ると思ったより広くて良い感じ。元はディスコだったとの事で、どおりで天井にミラーボールがあったり、BOX席があったりとその名残がある。ステージの最前席には既に10人くらいの客がいて、その後ろに友人夫婦がいた。実はこの会場で加川良仲間のTasaki。さんを探すつもりだった。

 彼はYahoo!Daysに加川良のコミュニティを開いており、僕はそこの記念すべき2番目の会員なのだ(総員2名というのは小さな問題だ、この際無視すべきだろう)。お互い書き込みでしか相手のことを知らないので、その印象を>私は白髪頭でひょろょとした男です。たぶんGパンGジャンで行くと思います(by Tasaki。さん)。>私は外見は頭脳警察のパンタにクリソツと言われたことは、残念ながら、全くありません。ちょっとパンクで態度のでかい「さだまさし」がいたら、それは、おそらく、私(by drac ob)。という風に実に謙虚な自己紹介をお互いし合っていた。

 席に着きそれとなくあたりを見回すと、ステージ最前の椅子に座った人がそれっぽい。声をかけるとビンゴ。立って握手して話をしたが、背の高い人でちょっとビックリ。延岡の牧師さんだが、若い頃はマル××というところで、ブイブイ言わせていたらしい。「赤ヘルというとブント・・・」とすぐ反応した僕のことを「お宅も昔は…」と人聞きの悪いことを言い始めたので慌てて「いやー今日楽しみですね、それじゃまた後で」とスルーする。

 最初はステージから真正面で前から2番目くらいのテーブルにいたのだが、丸椅子で落ち着かないので右手のBOX席に移動。スピーカーの前だったので心配だったが、ミキサーが上手な人でライブの間全く気にならなかった。7時少し前に今回のライブの主催者である渡辺さんがMC。なんと愛知や大阪、埼玉あたりからも駆けつけたファンがいるらしい。イベント慣れしていない初々しいMCで、最後に「良さん!」と呼ぶのだが、まだ準備が出来てない様子。7時を10分ほど回って、ようやく加川良御大登場。

 思ったより小柄な人だなという印象。「縁があって呼んで貰って感謝」的な喋りがあり、1曲目。ぼーっと聞いてしまう。2曲目『高知』が始まり、アア、イマオレハかがわりょうヲキイテイルノダと実感が一気に湧いた。客層が白髪頭のオッサンと二の腕が凛々しい元おねーさん(10年以上前は美人だっただろうな、その頃会いたかったな)方の膀胱状態を心配して2部構成でやると御大。とにかくトークが軽妙でどこからが冗談でどこまでがガチの話か煙にまかれる。虚実皮膜とはこういうことだと納得。

 1部はフォークソングをやるが、実は自分はフォークソングが大嫌いだ、みんなは好きなのかと問いかけ、客が拍手すると「そうか、オレと合わんな」。これでまた一同爆笑。僕は以前読んだインタビューで『ライブでリクエスト聞くと3,4枚目までのアルバムの曲が多くて、やっぱり聞く側は70年代の加川良を期待してると思うと気が重くなる』みたいなことを言ってたので、半分マジかなと聞いていたら…。「去年くらいに解った、オレはフォークソングが嫌いなのではなくて、それを歌う人たちが嫌いなのだと」。いや一筋縄ではいかないお人である。1部は今は亡き高田渡にトリビュートということで『生活の柄』を歌い出すが、途中で歌詞が途切れる。すると最前列の10人くらいのグループ(Tasaki。さん達のグループ)が先導して歌い正しく『フォークソングのコンサート』っぽくなる。
1部で印象的だったのは次の歌。これはコメントを控えて記しておきたい。

悲しいのは病気になった女です。病気になった女より悲しいのは捨てられた女です。捨てられた女よりもっと悲しいのは天涯孤独な女です。天涯孤独な女よりもっと悲しいのは死んだ女です。死んだ女よりもっと悲しいのは…忘れられた女です。 


 休憩中にトイレに行き、そのついでにお店の中を見渡すとDJブースみたいな所があり、そこに『ユーズド2』のCDがある。前から欲しかったのですぐに購入。加川良のCDはデビュー作から4枚目までは入手可能だが、それ以降は廃盤になったり中には未CDの物もあり、オークションなんかではとんでもない金額が付くことが多い。話は逸れるが、廃盤になってるCDに本人のサインが付いてるからと本来の単価の10倍近い金額で売りに出すとか、やたら廃盤・入手困難の文字を煽って不当に高く売ろうとする連中がいる。ミュージシャンが好意でしたサインを商品として流通させる無神経な連中、こういう連中とはともに天を戴かずである。

 ま、こんなことばかり言ってるのでいつも貧乏している。高度に発展した資本主義では(また出ましたな)欲しい人がいるから売る、例え商品が非人道的なものであっても法で規制されてない限り(法の裏をかける限り)売るのは自由であり、それでお金を儲けて何が悪い?お金を儲けるのはワルイコトですか?(by目と耳が大きくて話し方に落ち着きのない、えーと『限りなく透明に近いブルー』を書いた作家と同じ苗字の人って長くて回りくどいし、第一例えが古いな。せめてマンガ『龍』を書いた人と同じ苗字って、こちらも例えが古いか)。という声も聞こえる。はっきり言おう。悪い。その悪さを自覚した上で『俺は手を汚す』という精神なら大いに結構。いつでも手を差し伸ばしたい。昔の言葉で言えば『共に闘わん』というやつである。ところで今思い出した。昔の会社の上司だったT岡さん、『俺は手を汚す』返して下さい。アピールしたから時効は中断したことを公然と宣言するって何興奮してんだよオッサン。

 ちょっと脱線しすぎた。ステージには白のTシャツ姿の御大。2部の開始である。宮崎の初ライブのせいかやたら誉めてくれる。今日の会場もライブハウスというより立派なホールだとか、音響装置が素晴らしいとか、自分の周りの歌い手達(謙遜して?コジキと言ってましたが)も宮崎来たがってる連中多いのでPRしておくとか。大いに笑ったのが来週は井上陽水が来るんじゃないか、再来週は高田渡が来るかもという所だ。僕としてはついでに西岡恭蔵にも声をかけといてくれと言いたかったが。

 ところでこの日は僕たち夫婦と友人夫婦の4人で一緒にライブを見ていたのだが、2部の途中からどうも隣に座ってる配偶者の様子がおかしい。ふと見てみると目をつぶっている。感動してるのか?いや違う退屈してるのだ。知らない曲だらけで、しかもアコギだけのライブなのでつまらないのだろう。だから予習でCD聞いておくように言ったのに『辛気臭い』とか『貧乏臭い』とか言って聞かなかったのである。まあ、多感な10代から20代前半までに聞かないと、なかなか入り込めない世界かもしれないが。しかし、今回のライブの情報を持ってきた功績により見逃すことにした。 
 さて2部は一気に加川良ワールド全開であった。どの曲も素晴らしかったのだが(おっと彼のギターの表現力も素晴らしかったことを書いておこう。ピックを曲ごとに変え、チューニングも丁寧にやる姿は感動的ですらあった)個人的に印象に残ったのは、『ONE』、『コスモス』、『枚方のあきちゃん』そして長いギターのイントロ、ハミング。ん、このメロディはもしかして、そうだ『あした天気になあれ』だ。思わず大きく拍手して叫んでしまった。大好きな曲だが、ずっとトム・ウェイツの『Ol’55』のコピーではないかとの疑念が晴れなかった。生で聞いて確信した。あれは『アウトオブマインド』のアレンジがあまりに似てるのだ。トム・ウェイツではなくエリック・アンダーセンが歌ってるバージョンと。

 今回のライブでビックリしたのはまっさらな新曲を披露してくれたことだ。『教訓1』と名付けられたその曲は、自衛隊のイラク派遣だとか集団的自衛権だとか憲法改正などと何かときな臭い現代政治世相をユーモアのオブラートで包んだ本当の意味での反戦フォークソングではないだろうか(ここの部分加川良御大への愛情を込めたお返し)。

 時間も12時半近くになり(この手のフレーズはもういいか)最後の曲が終わった。物凄い拍手でアンコールをとなりかけると、御大「お互いもう大人なんだから、無駄なことは止めましょう。それでなくてもお互い時間がないんだから」。要するにお仕着せのアンコールの要請と不必要なミュージシャンサイドの演出は止めましょうという事。「さてアンコールにはどんな曲が…」と言ったとたんに会場から「マッチ一本」とか「あの娘と長崎」、「下宿屋」などの野太い声が掛かる。ここでも御大いわく「私語はやめよう、決めるのオレや」。

 ♪マッチ一本~と歌い始めた。『流行歌』である。sawyer先輩を思い出した(直接の面識は無いのだが)。息子さんの結婚式のスピーチにこの歌のフレーズを借用し、先方の親には不評だったが来賓の何人かに素晴らしいスピーチだった、加川良をご存知なんですねと言われ、解る人には解るのだ的なお洒落な話だ。そして本当のラストナンバーが『君におやすみ』。本当に加川良のステージが終わったのだ。

 この日僕は沖縄から来た友人とその後会う予定だったが、連絡が取れずそのまま4人でカラオケボックスに行った。フォークの良さを理解出来ない配偶者に荒木一郎の「ジャニスを聴きながら」、友部正人の「一本道」上田正樹と有山淳司の「あこがれの北新地」吉田拓郎の「人生を語らず」そしてもちろん加川良の「教訓1」を絶叫したことは微笑ましいエピソードとして語り継がれるであろう(誰からや、オッサン。石川セリの「遠い海の記憶」を歌いかけてキーが合わなくて投げ出したやないか!)


 久しぶりに、エントリーを読み直してちょっと驚いた。ここに書いた以前の会社の上司だったT岡さんも数年前に突然亡くなった。おかげで若松孝二監督の幻の著作『俺は手を汚す』は未だに手元に戻ってこない。いろいろ考えることは多いのだが、先ほどニュースで詩人の大岡信も亡くなったという記事が目に入った。なんとも言えない、合掌。



うう、どうしようかな、と言っても村八の話ではない



先日、ロックバーの店番している時に紅一点スタッフのケイちゃんから、岡林信康のライブが宮崎のニュー・レトロクラブであると教えてもらった。岡林、あの岡林信康である。山谷ブルースであり、ガイコツの唄であり、くそくらえ節の岡林信康である。

あるいは、それで自由になったのかいであり、私たちの望むものはであり、いやいや月の夜汽車の岡林信康である。最近は、美空ひばりの詞にメロディつけて歌ったり、山下洋輔と一緒にやったりした岡林信康である。

しかし、友よであり、アメリカちゃんであり、などと書いているとキリがないが、あの岡林信康である。大学の先輩にもあたる。が、パンタからセクト・ブギウギでおちょくられた岡林信康である。

33年ぶりで、最後の宮崎ライブである。歴史を伝説を見ておくという意味もあるし、まだまだ現役の岡林信康の今の歌を聴くことにも意義はある。あると思うが、うーん。

この迷いというかためらいというのは、分かる人にしか分からないだろうな。などと年度末で月末で、週末でもある今夜もロックバーで店番しながら迷うワタクシである。





iPhoneから送信

今宵の一枚は



クラッシュの初期のベスト。日本独自の編集盤である『パールハーバー』。アナログレコードなのにCDばりに17曲のシングル曲を収録。レコード一枚に収まらず、シングルが一枚、オマケで付いていたのが嬉しかった。先日、レンタルで観たジョー・ストラマーの伝記の印象が強烈で、今夜の一枚にした。クラッシュの結成から、崩壊していく姿は、やはり悲しくてやりきれなかった。しかし、このアルバムで聴こえてくるクラッシュのサウンドは、自分の行く道をようやく見つけた自信と喜びに溢れている。「コンプリート・コントロール」の間奏で、ジョーがミックに「お前は俺のギター・ヒーローだ」という叫びは実に良い。明日は、サヒカブイのカゴンマで昔の仲間と飲ん方の予定だったが、つまらん用事でキャンセルになった。仕方ないので、大音量でクラッシュを立て続けにかけてやる。





iPhoneから送信

今月2度目の店番



開店前にウェザーリポートの大ヒットアルバム『開演は8時半から』をかける。先日、岐阜のTHIS BOYさんから、クリヤマコトがアコースティック・ウェザーリポートというアルバムを出して、宮崎でもライブがあると教えてくれた。

その少し前に知り合いからクリヤマコトトリオの新作がゴイスーと聞き、早速入手して聴いてみてクリビツテンギョウ。何じゃこりゃ~、マジでアンプラグドのウェザーリポートやないけ、腰見はる?違う、腰抜けた。こりゃライブも凄いだろうと期待していたら、何とその日は送別会が入っている。義理と人情をハカリにかけりゃ、義理が重たいこの都政、違う、渡世。教育勅語にも送別会とライブが重なったら、送別会を優先しろとは書いてないか。

ま、そんなわけで泣く泣くライブは我慢した。その憂さ晴らしに本家のライブレコードで景気づけ。え、ロックバーでウェザーリポート流して良いのかって?心配するな、お客さんが来たらストーンズに変えるさ。





iPhoneから送信

本日は、グレース・マーヤのライブ



残念ながら、客としての参加ではない。宮崎国際ジャズデイのサポーターイベントの第2弾。スタッフとしての参加なので、前回の西藤ヒロノブのライブと同じくほとんど演奏は見られないし、多分、パーティで飲み食いもほとんど出来ない。

が、しかし、おいらがやらなきゃだーれーがやーる、パラシュート革命~。一息入れたら段取りに取り掛かるか。





iPhoneから送信

プロフィール

drac ob

Author:drac ob
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

QRコード

QR

鳩時計

フリーエリア

ブログ内検索