1年経ったが、どうにもならないこの感じ

 突然の話で恐縮だが、語感というものがある。言葉から連想されるイメージとでもいえばいいのだろうか。実は今日の昼にアスパラガスが食べたくなり、サラダにして食べたのだが、このアスパラガスという野菜、昔から我がポンニチに存在したわけではなく、僕の記憶だと確か1960年代に『アスパラでやり抜こう』というキャッチフレーズで、今で言う『さん、さん、三十代はグロンサン』だとか、ちょっと古いが『黄色と黒は勇気の印、24時間戦えますか、それは無理です』のリゲインみたいなドリンク剤の原料として登場してきた。その『アスパラでやり抜こう』というフレーズには子供心に凛々しいものを感じたが、アスパラの正式名称がアスパラガスと知ったときはへなへなになってしまった。腰砕けになってしまったのだ。

 何故か、アスパラはいい。しかし、その後のガスという単語から連想されるのはナチスの毒ガスとか当時はまだツービートは存在し得なかったので、そういう意味の毒ガスではないが、やはりその人体から時と場所をわきまえずに発射される毒ガスすなわち「放屁」というイメージが喚起され、アスパラはいいけどアスパラガスはダメ、ゼッタイという気分になったものだ。さらに当時、僕は一地方都市に住んでいたのだが、そこは夏目漱石が認定する陸の孤島で人とサルが半々くらいに住んでるのではないかといわれた場所、ああ、面倒くさいつまり述べお菓子、えっATOKまで小ばかにしているのか、延岡市に住んでいて、そこに存在するスーパーマーケットはその延岡市を牛耳る旭■成という企業が経営する「供給所」なる名称のものが圧倒的に存在したのだが(つまり延岡市の人口の8割は旭■成またはその関連会社に勤務するという企業城下町で、その従業員達に日常品を「供給」する場所として企業経営の「供給所」なるものがあちこちにあり、我が家のように旭■成に関係のない人間にもいちおう買い物をさせてやる、という存在であった)、そこで初めて見たアスパラガスはなんと缶詰に入っていた。つまり青野菜としてのアスパラガスの登場は大雑把ではあるが後年ロッキード事件が起こるまで、地方都市には存在し得なかったのである。うーん、ここまで断定していいのだろうか、しかしイメージ的にはそんな感じなのだ。



 で、語感という話だが今登場した缶詰、これは「缶」にモノを「詰める」から缶詰、すなわち「カンヅメ」なのだが、この単語を僕は「カンズメ」と思い込んでいた。つまり「缶」に何者かが「住んで」いるから、すなわち「カンズメ」。しかし、当時から硬直化していた文部省学校教育現場担当者、つまり小学校の先生はカタカナのテストで僕が書いた答え「カンズメ」に非情にも×をつけたので、当時から常識を疑えをモットーとしていた僕は「缶に住むからカンズメでいいのでは」と異議申し立てをしたが却下された。この頃から権力に対する不信感が芽生えたのだ。そうだ、それでもう一つ思い出したことがある。あれは小学校1年の初めての授業参観のときだった。

 算数の授業で担任が立方体の模型を見せながら「この形はどこから見ても真四角(なんせ1年生だから正方形という言葉をまだ学習していなかった)です。ほら、ここからみても、こっちからみても」などとそのサイコロ状の模型をくるくる回して見せた。その瞬間僕は「せんせい、違います」と挙手をしていた。先生は????という顔つきで「どこが違うかな、これはほら何処から見ても真四角でしょう」と、これが参観日ではなく普通の授業の日だったら「ナニを生意気ぬかすか、この餓鬼が。お前たちは黙って先生のいうとおり勉強していればいいんだ」みたいなことを地元の言葉で喚いたと思われるのだが、そこはそれ、参観に来ている父兄の目もあるので相手はたかが1年生だがちゃんと人権を尊重してますよという戦後民主主義的な態度をとるのだった。その当時まだミンシュシュギを信じていて、義を見てせざるは勇なきなり、うーん、ちょっと違うか、とにかく意見の違いは話し合えば分かる、相互討論相互批判の原則の堅持が大切だ、などと小学1年生が考えるはずも無く要は目立ちたがりのイチビリだったわけだが、今回ばかりは言わせて貰うぞとばかりに僕は「違います。違います」と連呼した。流石に持て余した先生が「じゃ、前に出てきて説明して見なさい」といったので、僕は教壇のほうに走っていった。

 先生からその模型を受け取った僕は、1つの頂点を中心にして斜めに持ち上げ「ほらこうやって見たら真四角じゃなく長四角(正方形を学んでいないわけだから当然長方形などという言葉を知るはずが無かった)みたいに見えます」と自信を持って言い切った。参観に来ている父兄、当然僕の親もいる、僕の方を見つめているクラスの男女、全員から深いため息と賞賛の言葉が飛び交うはずであった。何しろ、当時の知の最大級的存在である先生のいうことを否定しさらにそれを証明したのだから。

 …そのときの反応がどうだったかは皆さんのご想像の通りです。担任の先生から「drac-ob君はエライッ!!平面図形の概念を突破して空間図形の考え方を持ち込んだ。これは中教審に報告して、小学校の算数の授業の内容の見直しを提案しなければならない、まさに革命的発見です」などといわれるわけは無く、一同大爆笑で、僕は何故笑われているか理解できず顔を真っ赤にしながら自分の席に戻って「それでも、ああいう見方をしたら真四角じゃない」とガリレオみたいなことを呟きながらも、その騒ぎがどういう形で静まったのか記憶に無いくらいイノブタじゃないトラウマになってしまった。さらにその日家に帰ったら参観に来ていた母親から今まであれほど恥ずかしい思いをしたことはなかったとボロクソに叱られたことだけは覚えている。

 と、まあ毒にも薬にもならないバカ話を書いたのだが、なぜこんなくだらない話を書いたかと言うと、1年前のこの日にとても悲しいことがあって、それはもう思い出したくも無いしかといって忘れることも出来ないし、その出来事についてコメントするのも気が重いし、やはり何も無かったことにしよう、でもこの日に何かのエントリーは書こうという気持ちから昼御飯に食べたアスパラガスの話から思いつくままキーボードを叩いてみたのだ。そうそう、そういえば今日はみやざき国際ストリート音楽祭があるので、これからしばらくはお気に入りの音楽を聴いて何も考えないことにしよう。

 追記:『アスパラでやり抜こう』のCM関係の動画を貼ろうとYOU TUBE探したら弘田三枝子の名曲がアップされており、そこにアスパラドリンクの宣伝文句が書かれてあり、どうもアスパラとはアスパラギン酸のことでアスパラガスとは別人28号のようだ。しかもアスパラガスの白いのと青いのは育て方の違いで色の差が出るようで、別にカンヅメだから白くなるわけではないようだ。うーん、人生いくつになっても勉強だ。
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