ZEK3がやって来た その1

ZEK3 

 見ました。見てきました。2日続けてZEK3のライブを。ということで、今回は長らく待ち続けてきたZEK3のライブレポートというか、まあそういう関係の話を書いてみる。予告編にも書いたが、ZEK3の清水くるみさんから九州ツアー開始のメールを頂いたのが、先月の2日だった。ライフタイムにチラシとポスターを多めに送ったので、ついでのときに強奪して配布せよという指令であった。もっとも、その頃個人的なことでごたごたしていたので、なかなかライフタイムに行き出せずに、ようやく顔を出せたのはライブの1週間前、4月1日のことだった。

 例によってY尾君といつもの居酒屋で待ち合わせ、近況報告や今度のZEK3のライブはどんな内容だろうかとか、早い話が四方山話ってやつですか、なんだかんだと飲み食いして8時前にライフタイムに行った。入ると香月さんたちがセッションしていた。ベースには海外に行ってたS園君も参加している。去年の末には帰国していたけど、香月バンドのベースは別の子がずっと弾いていたので知らなかった。相変わらずニコニコしながらウッドベースを弾いていた。そうそう、ピアノは浜月さんが弾いていて、正直去年まではちょっと弱気なピアノだったが、随分力強くなっていていわゆるジャズ・ピアノとして十分聞けた。セッションが終わってから、メンバーの人たちといろいろ話をしたが本来の目的であるチラシを受け取り、ポスターもと聞いたらそちらは1枚しかなくて1階のところに貼り出したものしかないとのことだった。そのときにマスターにblog用に演奏中の写真を撮らせてくださいとお願いしたら快くOKしてもらえたので、当初の目的は達成、チラシの割り振りをY尾君として帰宅した。

 それから1週間は待ち遠しかった。僕は配偶者にもチラシ配布を頼んだが、なかなか反応が鈍い。というよりも、もう少し早めに情宣は、やるべきで世間一般の方はスケジュールというのは1週間スパンではなく1ヶ月、3ヶ月のスパンでやるものだという常識が当方に欠落していたのが敗因だった。こりゃマズイというので、地元の友人でこの手の音楽を聴きそうなやつに片っ端から連絡したが、これが人徳というものか、とんと打ち返しというものがない。と、いうより「お前まだ、ツェッペリンとか聴いてるのか」みたいな反応ばかりで、ちと頭に来たのよ。だって、みんな聴いただろう、ツェッペリンやパープル。あの手の音を聴かないと精神がゆがんでしまい、「数学できんのが何でいかんとや~」(by 石井ソーゴ)と絶叫しながらライフルを乱射していたかもしれなかったではないか。そんな大昔のことじゃないのに、みんな過去を清算して、何事もなかったようにするその思想性が今のニホンがだめになった原因ではないかとこちらはやけっぱちの誤爆だが、ま、その、諦め半分怒り半分の日々だった。そんな中、高校時代に同級生だったS藤君から電話があり、前売り買っといてくれと頼まれた。じゃ、せっかくなので恒例の居酒屋で夕方集合して軽く飲み食いしてからライブに行こうということになった。

 いよいよ当日、僕は早めに6時過ぎには居酒屋にスタンバッて、おでんをつつきながらビールをたしなんでおった。しかし、S藤君もY尾君もなかなか来ない。手持ち無沙汰でお店のテレビを見ていたら、地元のK城町のI河内小学校という全校児童6人の小さな学校に2年ぶりに新入生が入ったなんてニュースをやっていた。その歓迎式典で全校児童が新入生と手をつなぎながら「1年生になったら」を歌ってる映像が出たのだ。全校児童6人で友達100人作るのは至難の業だなと思いながら、携帯からblogにアップした。いや、そうでもしないと間が持たなかったのよ。決してジジィのセンチメンタリズムではない、うん。などと、やってるうちにY尾君が来て、それからすぐにS藤君も合流。僕はS藤君とはちょくちょく会ったり一緒に飯を食ったりしているが、Y尾君は随分久しぶりみたいで大いに話が盛り上がった。そうこうしているうちに7時になった。S藤君、Y尾君はまだちょっとおなかがすいてるようだったので、僕がレポとしてライフタイムに行き、恒例のシルバーシート(ステージから見て左側の、壁が背もたれになるベストポジション)を確保することになった。

本田氏のドラムソロ

 その居酒屋からライフタイムまでは直線距離500メートルというところか。生憎雨模様で傘を差して歩いていると、目の前に2人あちこちきょろきょろしながら歩いているカップルがいた。ライフタイムの前あたりで何やら立ち止まっていたので、こりゃヤバイ、シルバーシートを取られるかも知れんと思い、脱兎のごとく横をすり抜けライフタイムに入った。見事一番乗りでステージ真横の席を3人分確保しようとしたら、マスターから『今から熊本から来てくれるお客さんがいるので2人分席を譲って』といわれ、勿論快く譲ることにしたのだが、その熊本からのお客さんというのは、先ほど僕が追い越したお二人だった。僕に気を使われたのか最前列のところではなく、ひとつ後ろにお二人で並ばれた。Y尾君にとりあえず座席ゲットの電話をしてようやく周囲を見る余裕も出来た。お、ステージにウッドベースが置いてある。てことは、今回はエレキベースではなくウッドベースで行くんだなと納得。いや、チラシの写真で米木さんはウッドベースだったけど、こういうのは自分の目で見ないと、ね。

 間もなくS藤君、Y尾君もやってきて、徐々にお客さんがつめかけ始めた。最初にきたアベックはと見ると、関戸夫妻。町田町蔵のファンだという奥方に「最近は見にいけなくてすいません」と挨拶した。香月さん、S園君、その他多分宮大のジャズ研関係。ナニゲニ、ここライフタイムに結集する地元ミュージシャンが続々登場(後で気がついたがピアノの大西さんもいた。正しく宮崎ジャズ・アンダーグラウンド・シーンってなところ?)という感じだった。開演は7時半からだったが、まだ席に余裕はあるし恐らくスタートは8時近くだろうと話していたら、息せき切ったスーツ姿の男性2人が僕たちのテーブルに「いいですか」と言ってきた。Y尾君はステージの真ん前の席でちょっと見づらそうだったし、僕の向かいの席は空いていたので「どうぞ、どうぞ」とダチョウ倶楽部のようなことを言って席を譲った。お二人とも多分20代後半かいって30代前半という感じ。一番前に座った男Aは一緒の男Bの職場の部下というか後輩、もっとはっきりいうとこの時期だけに新入社員ではないかと思われた。

 いえ、会話がね「いやー、僕、こういうの大好きなんですよ、誘ってもらってありがとうございます」「ま、こういうのもたまには見ないとダメだぞ。仕事仕事で余裕をなくしたら人生終りだ」なんてとこから始まって、まあ聞くつもりはなかったが、何しろ目の前で話すものだからついつい聞こえてしまう。男Bは「いやー、ツェッペリンっていいバンドだったんだぞ、お前は知らないだろうが」。え、ちょっと待って。どう見てもリアルタイムで聴いてる筈ないんだけど、あ、追体験というやつか、うん、いいよ、いいよ、音楽ってのは同時代に聴けないものの方が多いし、かえってその方が対象に対して冷静にかつ深く入り込めることも多いしな。男A「ええ、僕もこういうの、あの60年代とか70年代っての好きでして」。あ、そう。それは結構毛だらけ猫灰だらけ、ん、いいんじゃないの。てな感じで話を聞いてるうちについZEK3登場である。で、驚いたことに、この60年代70年代大好きお兄さん、ライブの最中に半分眠りかけるわ、固まって動かないわ、多分これから二度とジャズのライブは聴きに来なくなるのではという心配が…。男Bは一人で乗りまくっていて正しく「COMMUNICATION BREAKDOWN」であった。ありゃ多分職場での人間関係にも影響するぞ。

 と、何故かライブに関係ない話を延々と書いたが、実はこのライフタイムでのライブ、それまでの期待が大きすぎたせいか、うーん、正直あれ、こんなんだったっけZEK3って、と思わなくはないような、そうだな~、いや、いいんですよ。凄く良かったんだけど、第1セットの初めがイマイチ乗り切れなくて「SINCE I’VE BEEN LOVING YOU」でキターっと思ったけど、何か僕自身が素直に乗り切れなかった。いや、演奏は迫力満点でした。2年前に見たときは、最初音のバランスが悪くてピアノの音が聞き取れなかったんだけど、今回はばっちり。ただ、なんというか前半の演奏も後半の演奏もすごく観念的(!?)というか、フリー・ジャズっぽいところもあったり(いや、フリー・ジャズ大いに結構なんだけど)、ちょっととっつきにくい感じがしたのだ、僕には。しかし、あっという間にハーフタイムが来たので、やはりZEK3の演奏にしびれていたのだろう。ただ、前回はハーフタイムの段階で耳鳴りがしたのだが、今回はそれほどでもない。S藤君には散々ZEK3の強烈さ、くるみさんのピアノの凄さ、本田さんのドラムの凄まじさなどアジっていたのだが、彼のハーフでの感想は「なかなかいいけど、いかにもジャズのゼップだよな。クラシックをジャズでやるのと同じようなものじゃないか」などと普段と違って鋭いことを言った。

米木氏とくるみさん

 で、ハーフタイムに男の人がピアノの方に行ったかと思うと、調律を始めた。そういえば前回のライブではくるみさんがピアノの弦を切ってしまったな、などとぼんやり考えていた、というのは大嘘で、やはりかなり興奮しており焼酎のロックをガンガンいっておりました。S藤君やY尾君も結構いいペースで飲んでおり、なんだか昔の高校のミニ同窓会みたいになってしまった。ふと、回りを見渡すと最初はちょっと寂しかった客席もいつの間にか結構埋まっており、BGMの音楽と話し声、笑い声、グラスの触れる音、これに紫煙が渦巻けば正しくかってのジャズ喫茶のイメージだ。でも、今は喫煙者は疎外される時代だから生きにくい。しかし、そういう時代に咥えタバコでステージに出る本田氏やベースのチューニングをする米木氏は非常にカッコイイ。カッコイイが乗り物にのっての移動のときなどは受難の日々だろう。

 後半のセットが始まった。前半から気になっていたのだが、本田氏がどうもやりにくそうだ。というのも、バスドラが叩いているうちに動いてしまい、演奏中になんども位置を動かしたりしていたからだ。しかし、「カシミール」の演奏は鬼気迫るものがあった。もともとイントロからしておどろおどろしい曲ではあるが、途中各自のソロが入り、さあこれからどういう展開をしていくのかと思わせながら、一瞬にして音が消えた。店内に異様な緊張感が走る。誰も音を出さない。客も拍手もしないし身じろぎすら出来ない。後で、S藤君、Y尾君に聞いたら「あそこで拍手したり音を出したりしたら負けだと思った」って、一体誰と何の勝負をしていたんだといいたくなるが、まあ、そういう緊張を強いる演奏だったのだ。僕は本田さんがワイヤーブラシに持ち替えたので、ドラムから来るなと身構えていたのだが…。しかし、それから後の演奏は正しく圧巻、圧倒的でした。惜しむらくは選曲が渋すぎるというか、もっとポピュラーな曲をやった方が受け入れられると思ったけど、まあ、ここは天下のライフタイムで客もジャズ命の人が多いので、その線でいったのかもしれない。

 前半1時間、後半1時間の演奏が終わり、拍手が続いた。アンコールの拍手が続く。笑顔でステージに戻ってきた3人が目で合図して、一気に演奏に入った。「移民の歌」だ。ロバート・プラントの絶叫が印象的なこのナンバーを見事なピアノ曲に仕上げている。そうそう、書き忘れたけど、ZEK3のリズムの切れは最高です。ブレイクとは正しく、こういうことだというお手本です、パチパチ。演奏が終わり店内にざわつきが戻り、僕たちもライブを見た後の余韻に浸りながら、おしゃべりを続けた。スーツ姿のA、B両名はあっという間に引き上げた。僕はタイミングを見てくるみさんに挨拶に行った。奥のカウンターに座っていたくるみさんに、「くるみさん、今晩は。drac-obです」と声をかけると笑顔で握手してくれた。先ほど、鍵盤をパワフルに叩きまくった手はとても小さくて柔らかくて、一体何処にあのパワーが潜んでいるのか不思議な感じがした。

 しかし、毎回思うのだが自分の好きなミュージシャンと話す機会など、そう滅多にないのだから、この機会にいろいろ話を伺えばいいのだが、いざそのときになるとすっかり頭から言葉が消えてしまい「明日も追いかけます。頑張ってください」くらいしかいえない、まあ、情けない体たらくでした。

 それからライフタイムを出て、興奮冷めやらぬ我ら3人はもう一度最初の居酒屋に戻った。そこの大将に「出戻りだね。30分しかないけど、いい?」と言われ、とにかくおなかが減ったので卵焼きとビールと焼酎をと喚きながら店に乱入し、そこで僕は卵焼きと玉子焼きの違いについて、この前のNHKのテレビで得た知識を披露しようと思いながらも、いや、今回のZEK3は難しかった、もっとポピュラリティを獲得するためにゼップの曲でも分かりやすい曲をやるべきだとか、アンコールは「移民の歌」もいいけど、「ロックンロール」をやればもっと受けたとか、タマヨはもっと叩けとかわけの分からないことを喚き続け、とにかく結論は明日のココロだ~などと小沢昭一的発言をしてその日を終えたのだった。続きます。

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