fc2ブログ

トノバンが消えた晩 ラスト

 先ほど、自分の書いたエントリーを読み直して思ったのだが、選曲がやけに偏っていてこれじゃトノバンは単なるキワモノでは無いかという気がしてきた。もっとも彼の素晴らしいレパートリーや他のミュージシャンに提供した楽曲などは百科全書派の「鳥肌音楽」でかなり詳しくアップしているのでここでは繰り返さない。岡崎由紀の「ドーユーリメンバーミー」やベッツィ&クリスは僕も思い出を込めて書こうかと思っていたのだが。そこで、トノバンの表ヒットというとあれだが、まあメジャーな曲を僕なりのヘンケンでアップしていき、彼の追悼を終わらせよう。

 先ずは、やはり『スーパー・ガス』からCM曲に選ばれた「家をつくるなら」。今ふと思ったが、小坂明子が歌った「あなた」の歌詞はこの曲からインスパイアされてないかな。エルトン・ジョンの「ユア・ソング」も、って何でもかんでもトノバンの影響かって。



 加藤和彦はCMソングも沢山作ったが本人も出演(声だけってのもあるけど)している。sawyer先輩がエントリーで書かれていたCM、「モーレツからビューティフルへ」をどうぞ。



 で、もう1発はこちらも今は亡き鈴木ヒロミツのヒッピー姿が懐かしいCM。加藤和彦は最後に「クルマはガソリンで動くのです」とアナウンスしている。



 そういえば、前のエントリーではフォークル時代にあまり触れていなかった。やはり加藤和彦の名前を普及させたのは、フォークルだしフォークルが日本の大衆音楽に与えた影響はかなりのものがある。とはいえ、「ヨッパライ」や「悲しくて」などはあまりにスタンダードすぎて僕らしくない。ここは一発、元祖フォークソングというか富山県、五箇山の、平村上梨に伝わる民謡、そう「コキリコの唄」でいこう。初めてこの歌聞いたとき、意味がデンデンムシじゃないや全然分からなかった。「コキリコの竹は七寸五分(しちすんごぶ)じゃ」というときの「たけ」は「丈」だと思った。何しろ次に続くフレーズが「長いは袖(そで)のかなかいじゃ」だしな。そして一番頭を悩ませたのはこのフレーズ。「マドのサンサはデデレコデン ハレのサンサもデデレコデン」。かなり頭に残った。



 で、またもや『スーパー・ガス』に戻るのだが、このアルバムにはトノバンらしい綺麗なメロディ・ラインの曲が多い。詩も松山猛の独自の世界を表現している。まだLPレコードだった時代にB面のトップに入っていた「不思議な日」をどうぞ。



 お次はミカ・バンドなのだが、ちょっと面白い動画を見つけたのでアップする。ミカ・バンドのデビュー曲「サイクリング・ブギ」を竹内まりやと高中正義プラスムーンライダーズでやってる動画だ。2分ちょっとだけど強烈なインパクトがある。続いて出てくるジュリーの歌も儲け物だ。



 この頃のトノバンは楳図かずおみたいな頭をしている。そうやってみるとルックスもクリソツではないか、グワシ。ミカ・バンドは海外レコーディングやツアーで有名だったが郡山ワン・ステップ・フェスティバルという有名な日本のイベントにも参加している。これはオノ・ヨーコプロデュースのイベントで当時かなり話題になった。最近DVDも発売されたのでご存知の方も多いだろう。その時の演奏で「塀までひとっとび」。メンバーの服装やメイクは時代を感じさせる。



 いよいよラストの曲にしようと思うのだが、僕にとっての加藤和彦は「それから先のことは」で一度止まっている。その後の三部作やスーパー歌舞伎、再結成のフォークルや和幸なども一応はフォローしたが、なんとなく敬遠気味のところも正直あった。つまり80年代で僕にとっての加藤和彦は一度終わっているのだ。これは僕の個人的な事情も大きく関わっているので詳しくは書かない。それで、やっぱり「シンガプーラ」をアップしようと探してみたら、サディスティック・ユーミン・バンドとしてのものを見つけた。「祝再発~」のエントリーで音だけアップしていたヤツが動画であったのだ。テクノ風シンガプーラ、戦メリの序曲付でどうぞ。



スポンサーサイト



コメント

確かに

アプローチの仕方が違うのでTBを控えていましたが文中引用いただいたのでTBさせていただきました。
百科全書派=既成の知的権威を否定し、自由な人間精神による知識の進歩と共有を信じる彼ら(Wikiより)
先輩、僕のことよくわかってるじゃないですか(笑)

いや、百科全書派っていうのは

前々世紀の遺物だという意味で書いた、などというと語弊があるので、美しき誤解のままにしておこう。しかし、こうやって振り返ってみると加藤和彦の残した足跡ってのは、物凄いものがあるな。今日のFMでつのだ☆ひろが喋っていたけど、つらそうだった。来週の月曜日にNHK-FMで特番を組むらしいが、夕方の時間帯なので録音できるかどうか…。

悲しい

ひょうひょうとしたイメージだったから、余計かもしれないです。空気のように馴染んで聴いていた音楽が多いので「あれもそうだったのか」と驚いています。
訃報を聞いたのは休出で働いていたオフィスで、衛星放送でつけていた「楽天イーグルス対ホークス」の試合の合間のNHKBSニュースでした。その時は心筋梗塞か何かかと思っていましたが、その後、ネットニュース(日経かどっか)を見た上司が「おい、首つってだって!」と大声を上げ、場が緊迫しました。
私はミクシーも2ちゃんねるも見ませんのでその辺の反応は分かりませんが、「驚いた」という反応のみならず、中高年層には「心の健康」「男の更年期」という問題もあって、他人事ではないという感想が多いようです。

「コキリコの唄」は初めて聞きましたが、もとは寒冷地のしかも落人伝説はあるは、流刑地でもあったようなキビシー場所の歌なのでもっと暗く強い印象なのに、随分柔らかい曲調になったんだなという感想を持ちました。

個人的にはミカバンド~1980年前後のころが一番好きな曲調が多いです。

合掌。

今日、スポーツ新聞で

彼の遺書に書かれた文章を読みました。「今の世の中には本当に音楽が必要なのだろうか」というのは、ある意味とてもニヒルな書き方だけど、そこまで絶望していたかと思うと胸に来ます。「『死にたい』というより『生きていたくない』。消えたい」という感覚はよく分かります。僕もときどき、似たような感覚を覚えてしまうことがあります。もっとも家族や経済的なことを考えて踏みとどまっていますが、何かきっかけがあれば暴走してしまうのではないかという、ちょっとした危機感はあります。

とにかく生きていくことだけを考えて、やり抜いていかないと…。今日は22時から吉田拓郎のオールナイトニッポン・GOLDを聞いてトノバンを偲びます。

色々考えたのですが…。

やっぱり加藤和彦を、私は評価しません。

おまけ

要するに、みんな判ってるんちゃいますのん?
http://www.youtube.com/watch?v=S7x05spu_qg

なるほど、barrett hutter さんの

仰る「自殺」に対する考えは良く分かりますが…。

で、話は変わりますが山崎まさよしはオールマン・ブラザースに対してトンデモな失言をして以来、スルーしてます。いやー、我ながらしつこいな。
非公開コメント

トラックバック

なぁおまえ 天国っちゅうとこはそんなに甘いもんやおまへんにや

亡くなった方に対して不真面目なタイトルをつけやがってと怒られそうですが、トノバン(加藤和彦さん)はきっと”いいんじゃなぃのホントに死んじまったんだから”といつもの笑顔で許してくれると思います。そんな粋で洒脱でなにやってもスマートで決して下品にならない人...

プロフィール

drac ob

Author:drac ob
1975年5月から1981年3月まで、眺め続けた景色から時代と文化が見えてくる。混迷と停滞の時代を撃つ、はずはない。

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

QRコード

QR

ブログ内検索