早く映画の話を書こうと思いながらも、つい横道に

怪しい感じのお店でしょ、ここがスモーキング・バー
 はっと気が付いたら、もう6月も1週間が過ぎた。このところまた体調がぱっとしない。2週間ほど点滴に通ったおかげで憩室炎は治まったのだが、ここ数日また右のわき腹に鈍痛が走る。憩室炎のときはお腹に触っただけで痛かったが、今回はそうでもない。もしかしたら石が出来たのかもしれない。ああ、気が重いな。そういえば先週の日曜日に「実録連赤」を見に行って、いろいろ思うこともありエントリーの下書きを何度かしたのだが、上手くまとまらずそのままにしている。梅雨の空と同じようにはっきりしない、どんよりした日々が続いているのだ。

 そんな重たい日々が続く中、6日の金曜日(その翌日は久しぶりの土曜休日の予定だった。勿論予定は未定であり、結局は会社に出て遅れていた仕事を取り返す羽目になったのだが)の夕方、突然携帯がなった。いや、携帯はいつも突然なるもので、事前に予告があってなることはまず無いのだが。出てみると高校時代の友人であるMからだった。「この前Sが家に来て、今度お前を誘って飲みに行こうと話をした。明日の都合はどうだ」という。SもMも(あ、こういう並べ方をするとあっち方面の話題みたいだが、どちらも野郎です)、しばらく会っていない。Sは同じ宮崎なので会おうと思えば電話で都合がつくがMは僕の育った延岡というところに住んでいるのでなかなか会う機会が無い。もっともいつの間にか宮崎に家を建てて家族はこちら、本人は単身で延岡で仕事というある意味ちょっと羨ましい身分なのだ。

 お誘いの電話に1も2も無くのって、結局翌日の夕方7時にあるおでん屋に集合することにした。しかし、考えてみるとSは会社を経営しているいわゆる社長だし、Mも病院を開業しているドクターである。いわゆる世間的にいう「勝ち組」という連中だ。それに引き換えこちらは未だに賃貸アパート住まいで、多分今後もお金を稼ぐことには大いに苦労するだろうということが容易に想像できる、根っからのプロレタリアート、それもルンペンプロレタリアートである。待ち合わせの繁華街のところまで配偶者の車で送ってもらう時に「SもMもお金持ちなんだから、おでん屋なんかじゃなくて宮崎和牛のお店とかもっとこうリッチなところに誘ってくれればいいのに」と愚痴をこぼしたら、「あなたに気を使わせないためにわざとそんなお店にしてくれたんじゃないの」などとたしなめられた。もっともである。何年か前にやはりSとあと何人かでメシ食いにいったがいわゆる本格的イタメシ屋で大変居心地が悪かったことを思い出した。結局その日一番美味しかったのは締めで食べたラーメンだったりして、ああ、情けない。

 車から降りて時計を見ると7時まで後20分ほどあった。ちょっと中途半端な時間だったので本屋を冷やかしていたら、朝日新書のところで目が止まった。「本と映画と『70年』を語ろう」というタイトルで、鈴木邦男と川本三郎という名前が見えた。意外なことにこの二人の対談は初めてらしい。先週は連合赤軍の映画で、今週は赤衛軍の本かと、この手のことは連鎖するなと思いながらも立ち読みして、気がついたらお金を払っていた。その足でおでん屋に入るとまだ誰も来ていない。しかし土曜の7時前だというのに、いや7時前だからというべきか、カウンターも座敷も結構お客さんで一杯だった。お店の人に「連れと待ち合わせしてる」というと「Sさんですか」と聞かれ返事をしたら、3人分のおしぼりを置いてある席を示された。一人で先にやっとくのも行儀が悪いので、買ったばかりの新書を読んでいたら、すぐに2人がやってきた。

 お互いの近況を報告しながら生ビールで乾杯し、かつおの刺身やおでんや地鶏など、まあよく食べた。SやMとは高校1,2年同じ(持ち上がりというやつだ)クラスで、そのときの担任の先生が気さくで面倒見のいい方で、その先生が紹介してくれたおでん屋なのだ。そういう店なので客は高校の先生が多く、それもどちらかというと管理職よりは組合側のお客さんが多かった。まだ若くて生意気ざかりだった僕などは、その店で元某セクトだったという先生と意気投合し、校長会の帰りに来ていた団体相手に論戦を挑んだり、あるときは西ドイツから宮崎に来ていたお客さん、しかもお店の大事なお客さんの連れだったが、「クリスタル・ナハトを知っているか?お前らに代わって、日本人のパンタが総括したアルバムを出したぞ」などと訳の分からない話をして随分お店に迷惑をかけたはずだ。

 最初は話も上手くかみ合わずに、ちょっとしらけた感じだったがビールが回り始めてからは舌の回転も滑らかになり、昔話に花が咲いた。やれ、あいつはどうしているとか、この前会ったけど随分ふけたとか、人の噂話ですな。それはいいのだが、もうそれぞれいいオジサンになっているのに、未だに高校時代に可愛かった女の子の名前やいろんなエピソードを持ち出しては、いかに自分はモテテイタカとか、こう見えても昔は結構カッコよかったのだなどと余りにも次元の低い話になっていったのは、僕の不徳のなせる業だ。などと書いてしまうと、お前は自分だけ良く書くからダメだ、自分のことは書いてもいいが人のことを書いたらいかんぞなどと言われかねない。

 まあ、それにしても学生時代の友人というのはお互い気心が知れているからいい。これが仕事関係だと気を使うしお金も使うし、それでいて全然楽しくなく、下手すると翌日以降の仕事の発注量にも影響するから嫌になる。この日大変面白かったのは医者の中でも「勝ち組」「負け組」があり、美容整形を始めた××は勝ち組だが、金にもならない年寄りと子供だけを診察している○○は負け組、ついでにオレも負け組だ、などとMが話してくれたことだ。もっともオレから言わせりゃMも立派な勝ち組だが。まああまりこのようなことを書いていると単なる僻みだと思われて革命の大義もなくなるが(おいおい、どこにそんなものがあったんだ、いかんな、この前の映画の影響を受けすぎだ)。

 美味しいおでんや肴を食べていい加減お腹が一杯になってきたのでそこを出て次の店に行くことにした。どんなところに行くか3人でいろいろ話したがまとまらない。僕はこういうときに人を連れて行く店がない。ここはやはり地元宮崎で夜の街をブイブイ言わせているS社長におすがりして案内してもらった。連れて行かれたお店は、入ってから気がついたのだが去年加川良のライブの後にSに連れて行ってもらったお店だった。体格のいいママさんが声量豊かに「イッツ・ツー・レイト」を歌ってくれた店だ。Mから「歌え、歌え」とけしかけられて、それならばと荒木一郎の「ジャニスを聞きながら」を歌った。それからは、70年代のポップスや日本のフォーク、ロックの歌をがなりまくってやった。覚えているのは「人生を語らず」「プカプカ」「海岸通り」「男らしいってわかるかい」「たどりついたらいつも雨降り」「青春の影」「ゲット・バック」「ミセス・ロビンソン」「名前の無い馬」などなど。そうそう何故か「金太の大冒険」を最後に歌ったが見事にスルーされてしまった。あ、声量豊かなママさんには「夜が明けたら」をリクエストしました。

 大いに歌って(あ、これは7割がたオレ)語り、話は70年代から現在に至るまで時空を駆け巡り、もはや主語も述語も訳の分からない状態になりオジサン3人はその店を出た。11時を十分過ぎていたと思う。そろそろ解散するかというところだったが、何故かみんなで葉巻を吸いに行こうということになった。僕は知らなかったのだが、今宮崎にもスモーキング・バーというのか知らないけれど、葉巻が沢山用意してあり、そこで紫煙をくゆらせながら浮世のストレスを発散させるお店があるらしい。僕もタバコをやめてかれこれ3年以上経つが、これは一丁いってみるかということになった。あ、後の2人の名誉のために書いておくと彼らがタバコ吸わなくなってSはもう10年以上、Mは良く分からないが職業柄1年や2年ではない。それでもお酒を飲むとたまに葉巻を吹かしたくなるのだと二人して言うので、ちょっと不安になった僕は「それでまた喫煙習慣がつくんじゃないか」と聞いたが、葉巻は吹かすだけだから大丈夫だとMが自信たっぷりにいった。

 それでは、ということでそのお店に入ったが、バックに軽くジャズが流れるちょっとアンニュイな雰囲気の店。確かに入るとすぐにいろんな葉巻の入っている箱を持ってきて自由に選んでいいという。僕も適当なものを選んで吸ってみた。いやー、久しぶりに来ましたね。目一杯肺に吸い込みました。頭にくらくら、煙がふわふわ。バックのジャズの音は消えて頭の中には「スモーキング・ブギ」が「煙が目にしみる」が「フワフワWOWWOW」が鳴り響きました。そこではどんな話をしたのかもうほとんど覚えていない、伊東美咲に良く似たオネーサンがいたような気がしたが、はっきりしない。多分葉っぱでトリップしていたから、夢だったのだろう。
お金を渡してるけど、単なる支払いですよ、誰だいやらしい想像してるのはsugarmountain、お前だろっ!

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コメント

いや、その…

肺まで吸い込んじゃダメですからっ。

え゛-、ダメなんすか

あの、その丸3年以上も煙を吸ってなかったんで、すっぽり忘れてしまっておりました。モクってどんな風に吸うんだっけ、僕は常に全力投球で肺まで吸い込んでおりましたが…。

ダメっていうか

「個人の勝手」と言われればそれまでですが、葉巻は紙巻きタバコのように肺まで吸い込まず、お友達がおっしゃったように“ふかす”のが普通です。つまり、ニコチンの作用ではなく、香りを楽しむっていうコトでしょうか。
私も経験がないので、よくわからないんですけどね。

「ふかす」とか「くゆらす」というのは

どうもブルジョワ的退廃さが漂っていて、根っからの人民プロレタリアートの僕には無理です。早い話が貧乏性なもので、全力で吸い込んでゆっくり吐き出すという、ハイライトやショートホープを吸ってたような吸い方をしてしまった自分を可愛いと思います。

人間死ぬまで踊り忘れずだな、あ、スズメ百までだったか…。
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