「また会おうね」ライブセッションを見て(別題 男は幾つになっても)

 というわけで日曜日の続きなのだが、昨日ヨッパラって僕の家のドアをノックしたオジサンはどうなったか、定かでは無い。こちらはそれ以上に忙しくて、何しろライブの開場が19時でその焼き鳥屋に入ったのは18時前だったからだ。最初に地鶏のもも焼きを2人前頼んだのだが、オーダーが通ってなくて、その2人前の皿が運ばれてきたのは6時半を回っていた。一味をかけて大急ぎでぱくつき、旨い、熱い、辛いなどとめいめい勝手なことを言いながら一気に食べた。そこからライブハウスまでは歩いて10分も無い距離なのだが、いい席を確保するために6時45分に早足で向かった。着いたのは7時前で階段を上がっていくとお店の窓ごしにさがゆきさんがギターをバックに歌っているところだった。ヤベ、もう始まってると思ったのは間違いでリハーサル中だったのだ。

 3階から1階に降りて、自販機で缶コーヒーなど買って飲んでいたらわりと年配風な女性が手に何か持ってLIFETIMEの階段に向かって歩いてきた。慌てて階段を上がろうとしていたので「まだリハーサル中みたいですよ」と声をかけてあげた。1階のところで所在投げにぼんやりしてたら、上のほうから「もういいよ」と声をかけられ、ビックリして見上げるとマスターの草野さんがニコニコしながらこちらを見ていた。よし、一番乗りだと階段を上がり草野さんに今日はシルバーシート(最前列の左手の壁が背もたれになる場所を僕達はシルバーシートと呼んでいたのだ)で見せてもらいますなどと話した。もう一人の年配の女性は先日の香月&大西ライブの翌日に国富町でやはりジャズのイベントを主催された方で、あの大韓航空機撃墜事件の被害者の方のご母堂だということが分かった。

 たまたま新聞で読んで知っていたのだが、あの事件に宮崎出身の被害者がいたのだ。しかもアメリカの大学でジャズを勉強して、奥さんだか婚約者のかたとご一緒に日本に帰るための便に乗っていて事件にあわれた。その鎮魂の意味を込めて、地元の国富町でジャズのイベントを開いたとのことだった。しかし、そのニュースを知ったのは地元紙で、そのイベントが終わった翌日だった。もっと早く知っていれば、香月&大西ライブを1日ずらして見にいったのに、とY尾君と二人して話し合った。毎度まいど思うのだが、地元の宮崎でもいろんなイベントや企画があるのだが、どうも地元紙の文化担当は音楽とりわけ大衆音楽はお嫌いなようで、以前はLIFETIMEの草野さんのコラムなんかが載ったりしていたのだが、ここ最近は全く無視。デンデンムシってなもんだ(byあのねのね)。

 などとしょーも無い駄洒落など言ってるうちに、お店が開いて中に入ることが出来た。僕達は予定通りシルバーシートへ。先ほどのご母堂はカウンターの一番前の席についた。椅子に座って1,2分もしないうちにどかどかと若い連中が10人ほど入ってきた。地元宮崎大学のジャズ研の連中だ。例によってステージの前の一番いい席を独占する。この様子を見ながらY尾君に「近頃のワカイモンは長幼の序を知らん。そういう前のいい席はオジサン・オバサン用に取っておいてあげるべきだ」と話すと、彼も「そうそう。俺達はこうして友達同士で来れるからいいけど、一人だとこの雰囲気には入りにくいよな。今までも何度か行きたいライブがあったけど、一人だと何となく億劫で行かなかったし…」などと相槌を打った。

 ほどなくして会場は人が増えてきた。僕達の隣の席に外国の方が座りその前の席に香月さんがやってきた。今日もちゃんと挨拶をしてくれる。このあたりに育ちの良さが出るというもんだ。さて僕とY尾君は壁際に並んで座っていたので、テーブルの向かい側の席が2つ空いていた。そこに最初に女性の方が「ここいいですか」といって座った。以前のエントリーで謎解きが途中になっていた「ジャズ喫茶における謎の美少女の存在」というテーマには残念ながら該当しない。いや時間を20年ほど遡れば、多分美少女だったのではないかという議論の余地はあったのだが、まあそれはいい。それからちょっとして「ここ空いてますか」と聞いてきたのは僕達と同じくらいのオジサンだった。

 丁度Y尾君と一人でライブに来る寂しさというか行きにくさについて話していたので、挨拶をしてからいろいろ話をした。僕達は今年ZEK3を見ていたく感動し、そのZEK3の清水さんのご主人の渋谷毅さんのトリオなら是非見ようということで来たと話したら、その方はギターの潮先郁男さんが目当てで来たという。それをきっかけにいろいろ話したが、いやージャズオンリーの人ではなくて、ロックからブルースまで詳しくご存知の方で随分話が盛り上がりました。何しろ去年のカルメン・マキのライブがきっかけでまたあちこちライブを見るようになったと話したら、「ああ、OZの頃は大好きでした」とかギターの話でクラプトンの話題になったら「薬から立ち直った『461』もいいけど私はその次に出た『安息の地を求めて』が好きでした」などと、おぬし出来るなという感じで、それから塩次伸二と妹尾のライブの話になると「ウェスト・ロードの塩次さんですか」とまさに打てば響く会話でした。お年も2歳しか変わらずお隣の鹿児島のご出身とのこと。またライブハウスで会いましょうと分かれたが、そういえば名前も聞いてなかったな。

 会場に人も増えてきて、時間も7時半近くになりようやくライブが始まった。さがゆきさんは去年谷川賢作と一緒に来たのを見た。そのときは1週間前にマキさんの凄いライブを見た後だったので、正直ちょっと物足りなかった。特に「サマータイム」を歌ったのだが、マキさんのジャニスが天から降りてきたような歌を聴いたばかりだったので、かなりつらかった。いや歌は上手いし、人を惹きつけるシンガーだというのは十分分かっていたのですが。しかし、今回渋谷毅と潮先郁男の音をバックに歌うのを聞いて昨年のイメージが大きく払拭された。Y尾君いわく「ベースみたいな役割のボーカルだな」。

 渋谷毅のピアノはしかし、絶品でした。手数の少ない、限られた音色の中でどうすればこんなに愛らしい音が出せるのだ。今まで聞いていたピアノがどちらかというとパーカッシブなタイプが多く、手数も多くガンガン、ズガンズガンいくものが多かっただけに、本当に美しいピアノを聞かせてもらった。しかし余韻がないというか何というかエンディングの音がまだ消えていないうちにいきなりMCに入るのはビックリした。それと結構いいピッチでタバコを吸い、アルコールを摂取する。いやージャズマンだなといたく感動した。

ところで今回のライブは中山信一郎さんという鹿児島出身のジャズ界のご意見番みたいな方がいらっしゃって、その方が病で倒れる前にジャズを聞き始めた頃のご自信のマイフェイナリットソングズをCDに出来たらいいなとさがゆきさんに手紙を書いたことから始まったとのことだった。だからいわゆるジャズジャズしたスタンダード(どんなんだ一体)ではなく、進駐軍のクラブでよく歌われたものが多いらしい(いや、僕はリアルタイムでは知りません、ハイ)。年代的には1920年から1930年くらいの歌らしい。中には渋谷さんがまだクラブなんかでピアノを弾いていたころ、嫌になるくらい弾かされて、もう二度と演奏したくないという曲もあったらしいが、ご本人曰く「僕の美しいピアノで弾くとまた一段といいものが出来て」というレコーディングだったようだ。

 そうそう、ギターの潮先さんのことを書き忘れていたが、ライブが始まるまでどこかのジャズ好きのオヤジだろうと思っていたくらい、外見は庶民的なお方でしたが、いやロックでもない、ブルースでもない正調ジャズギターをたっぷり聞かせていただきました。ギターの先生としての仕事も多々されているようで、この日の会場にも延岡にお住まいのお弟子さんが来られていて、そのお弟子さんが今度延岡でライブをやりますなどと宣伝もあった。あ、これは草野さんがコメントしたのだがその日が丁度次回の香月&大西バンドのライブの日だったので「延岡に行く奴はぶっ殺す」などと物騒なことを仰ってました。

 と、まあこんな感じでじっくりいいライブを見て聞いた日曜の夜でした。ライブ終了後は珍しくすぐ帰ったのだが、そういえば帰り道でY尾君が「さがゆきさんていくつくらいだろうか」などと話し出して、なんと「ところでさがゆきさんて、胸が大きかったよね」などといい始めた。こいつはライブの真っ最中にどこを見ているのだとややあきれながら「うん、大きかった。悪くない。いや積極的にいい」などと反応してしまう悲しいサガの僕であった。あ、最後に意図せざるシャレが…。そうそうそれとあのねのねの謎解きをしておこう。



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コメント

う~ん、宮崎の音楽事情は良く判らんですが

まぁ、もちろん東京みたいな規模ではないけど、宮崎という一地方都市にも「ちょっと侮れん人達」が、そういう音楽を夜な夜な聴きに来ているワケですな。その意味では日本というお国は、やっぱり大したものだと思います。でも、やっぱり当事者じゃないので、宮崎の音楽事情は良く判りませんわ。そういうわけで、むしろその前の焼き鳥屋での「地鶏のもも焼き」という一文に強く惹かれましたw

「地鶏のもも焼き」は宮崎が誇れる

旨いものの代表です。僕自身、最初に見たときはなんて黒くてグロテスクな食べ物だと思いましたが、いや旨いのなんの。炭火で焼いても結構油が残ってるので、有名なお店は必ずキュウリに塩を振ったものを口直しにトッピングしています。ゆず胡椒で食べるのがベストですが、なければ一味などでも美味しく頂けます。我が県知事が真空パックの地鶏を良く手土産にしてますが、あれはヘンなのに当たるとぱさぱさして食べられません。是非一度本場のものをどうぞ。って、あれ音楽の話はどこかに行ってしまった…。
http://miyazaki.daa.jp/jidori.htm
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