おっと13日もジャズのライブがあるんだった

ライブの合間、演奏中はまた注意されると思って撮れなかった

 いやー、驚いた。それと同時に言葉の無力さも感じた、2時間だった。毎度毎度おなじみの『月一ライブを見て、ついでにジャズ界における謎の美少女問題を解決する会』の話だ。先月、ニューヨーク帰りの香月さんのライブを見たと思ったら、今月は8日に板橋カルテットのライブである。メンバーは怪人板橋のピアノに、望月グズラのベース、林栄一のアルト・サックス、ドラムは小山ショータという完璧な布陣。こりゃ見ものだ、見逃す手はないと、Y尾君と例によって駅前の縄のれんで当日夕方6時半集合ということを決めた。

 仕事を6時過ぎに強引に片付けて、自宅に帰り着替えた。僕はこういうところのこだわりが強く、せっかくライブに行くのなら私服でないと嫌なのだ。非日常の音楽空間に浸るには日常の制服(いえ、別に制服着ている仕事してないですが)を着替えて、別の自分として参加したいという気持ちが強いのだ。誰だ、年甲斐もなく若い娘にもてようと思って着替えてるなどという奴は。悔しいが全否定は出来ないので、部分否定で勘弁してくれ。などと言い訳をしながら駅前の縄のれんに入っていくと、今回はY尾君が一人でおでんを食べていた。今日のライブは7時半からなので30分ほどしか時間が無い。大急ぎで豚バラとネギマを各2本、そして美味しそうな獅子唐を1本焼いてもらい、一気に食べた。いつもならここで1時間ほど世間話をしながら一献傾けるのだが、今日はなんせ時間が無い。そそくさと食べて飲んで、7時にはLIFETIMEに向かった。

 お店に入ってちょっと驚いた。いつもならステージ前の席が取れるはずなのに、開演30分前で前の席は団体さんで占められていた。「流石は板橋カルテットだな」とY尾君に離しかけながら、お店の入り口のドア近く、つまりそのステージから一番離れた席に座った。もっとも位置的には左にドラム正面にベースとサックス、右手にピアノという理想的な配置だ。お客さんはその段階で4,50人くらい入っていただろうか。飲み物を注文してテーブルに置いてあった、ライブ告知のフライヤーなどを見ながら時間をつぶした。開演時間の7時半を過ぎてもまだまだお客さんは入ってくる。年齢層はまちまちだ。そういえば僕たちが入ったときに、既に中ほどのテーブルに年配のご夫婦が座っていた。年のころは60代後半だろうか。バドワイザーにチーズをつまみにしてちびちびやっていた。その前の席には30代くらいの男女のグループが居て、その中におそらくまだ学校に上がる前、つまり5歳くらいの女の子もいた。どういう考えだかよく分からないがジャズの英才教育なんだろうか。

 次々と入ってくるお客さんの中に香月さんがいた。今日はご両親と一緒のようで、視線があったら挨拶をしてくれた。しかもわざわざ「CDありがとうございました」と御礼を言ってくれた。僕が編集してY尾君が届けたカルメン・マキのCDの御礼だ。今日のメインの板橋文夫、太田恵資とのライブとOZ時代のライブを入れておいたものだ。「ラストの曲良かったです」「名曲『私は風』ですな」などという話をしながらひたすらライブの始まりを待っていた。8時ちょっと前だったろうか、マスターの草野さんが「きりがないのでこれから始めます」という叫び声が上がり、ステージに4人が上っていった。それぞれ楽器を準備してウォーミング・アップをはじめ、板橋さんがいきなりマイクを握ってメンバー紹介をした。「今日がツアー最終日です。それでは本日の1曲目LIFETIMEの夜、聞いてください」カウントも何もなく突然演奏が始まった。凄い迫力だった。

 板橋さんがバンマスなので時々MCが入るのだが、カツゼツがあまり宜しくなく、何と言ってるのか上手く聞き取れない。分かるのはメンバー紹介だけという手探り状態だったが、いや、演奏は凄い。このところピアノトリオばかり聴いていたせいか、林栄一のサックスがとても嬉しい。やはりジャズには管楽器があると嬉しいと何度も口に出してしまった。そしてショータのドラムス、以前のZEK3のときの本田さんのドラムも歌心満点のドラムだったけど、これぞジャズのドラムだ、と思わせるショータさんであった。そういえば最初のうちやたら板橋さんが立ち上がってピアノを弾いていたのだが、どうやら椅子が壊れたらしく途中ついにスタッフを呼んで椅子の修理を始めた。その間のブランクをショータさんが一人で埋め続けた。いわば半強制的なドラムソロで、それはそれで十分楽しかったのだが、椅子が元通りになって本来のカルテットの演奏に戻り、そこで披露したドラムソロは圧巻だった。

 曲名とか、アドリブがどうしたなどの小ざかしい解説は抜きにしてあっという間にハーフステージが終わった。客席に話し声が戻り、お店がにぎやかになり始めた。それと同時に演奏中には気がつかなかったが、かなり空気が汚れている。ちょっとした酸欠状態で、入り口の開けっ放しのドアから入る外気の風が心地良かった。僕はすっかり興奮してしまい、恒例のジャズ喫茶における謎の美少女問題について深く考察しようと思ったのだが、届かぬ花より手近な造花が身上のY尾君は同じテーブルに座っていた女性2人に話かけ始めた。この人たちはライブ直前に入ってきて、丸椅子が丁度2つ空いてるのをいいことにずけずけ僕たちのテーブルに入ってきた人たちなので、僕はあまりいい印象はもてなかった。それと致命的なのが、どう見ても年上であったことと、話す口調が、その、なんというかオババ丸出しだったのがネックだったのだ。

 しかし、根っからの反ベサツ主義者のY尾君は心からの連帯の意を彼女たちに表明した。つまり「どこから来たのか、年はいくつか、どんなジャズが好きなのかetc,etc」。返って来た言葉は、ほとんどまともには答えていないというか、柳に風みたいな受け答えだった。もっとも僕は全く無関心を決め込んでいたのだが、それでもちょっとむかついたのはY尾君が「どこの高校出身ですか」と聞いたときに「オヤフコウ」と答えたそのセンスだ。「オヤフコウ=親不幸=親不高」というつもりだろうか。言っちゃ悪いが、明治のセンスだ。あ、大学ではなく年号の明治ね。要するに若い頃から親不孝で、巷のジャズ喫茶なんかをうろうろして、いつの間にかオトナになったのよ、ミタイなことがいいたかったんだろう。しかし、結構宮崎のライブは良く見ているようで、以前のロリンズのライブはどうこうとか言っていた。そうだ。もうひとつむかついた理由はZEK3のライブにも来ていた様で「あれはジャズじゃないね」などと抜かしたことだ。てめえの不自由な頭と顔できめつけるんじゃねぇ、と怒鳴りたかったが、話しかけたのはこちらなので、我慢した。まあ、顔は覚えたから次回見かけたら、頭の上からネコイラズをばら撒いてやる(by スターリン「豚に真珠」)。

 そうこうするうちにセカンドステージが始まった。そのときに気がついたのだが僕の座った隣の席にミキサーがいて音の調整をしていた。しかし、カルテットの音のバランスはあまり良くなかった。サックスとドラムはハッキリ聞こえるのだが、ピアノの音が小さくガンガン弾いてる板橋さんがかわいそうであった。それでも林栄一の額の広さと板橋の全身で弾くピアノは去年のカルメン・マキ以来で目一杯楽しめた。先ほども書いたがやはりジャズには管楽器が入っていると、それだけで音の幅というか音楽の振幅が大きく広がる。思ったほどフリー・ジャズっぽい演奏はなく、メロディというかテーマがちゃんと分かる演奏だったのが良かった。満員のお客さんも十分楽しめたと思う。

 あっという間にラストナンバーが終わったが、板橋さんが相変わらずもごもご何か言ってる。良く聞いてみると「アンコールですか、そうですか」と勝手に決めて、即座のアンコールに入った。こういう省エネアンコールは大好きだ。お互い手が痛くなるまで拍手したり、一度楽屋に下がって様子を見ながら出て行くなんて、つまらない駆け引きは止めたほうがすっきりする。駆け引きなんて若いうちはいいけど、もうみんなオトナなんだからね、と加川良のフレーズを思い出した。
打ち上げのテーブル、冷汁が美味しそうだった

 演奏が終わるとあれほどいたお客さんも一気に引いてしまった。ステージ前のテーブルには大きな食器に盛り付けられた料理や、コップなどが手際よく並べられた。給仕をしているのは、ステージ前の席を独占していた若い男女、多分宮大のジャズ研の連中だろう。それに混じって香月さんもいた。これから打ち上げが始まるようで、野次馬精神旺盛な僕たちは飲み物を追加して、隅のテーブルにドサクサ紛れで入ろうとしたが、そこはそれ、関係者ではないので、カウンターに席を移るように注意された。そういえば打ち上げの始まる前にY尾君がショータさんのところに行き30年前に大分で見て以来で大いに感動したことを話しに行ったが、ちゃんと応対してもらい感動していた。ジャズメンというのはこういうところでお客さんを大事にしているとつくづく感じた次第だ。

 いつもはその日見たライブの感想を喋りながら歩いて家まで帰るのがルーティーンワークなのだが、この日は演奏とアルコールに酔ってしまいタクシーで帰った。家に帰ると清水くるみさんからメールが来ていた。板橋カルテットを見に行くとメールしたことへの返信だった。読んでみるとグズラさんとショータさんは大学の先輩だと書いてあり、林さんとはついこの前ZEK4として一緒にやったとのことで、皆さんによろしくと書いてあった。残念なことにもうライブが終わった後だったので、そのメッセージを伝えることは出来なかったが。さらに驚いたのはこのライブのあった翌日に板橋御大は神戸でカルメン・マキとライブをやっていた。凄いな、あれだけハードに演奏して、打ち上げで飲んで(いや、どれだけ飲んだか知らないけれど、イメージ的に斗酒なお辞せずという感じなので)、翌日は遥かかなたの神戸でライブだから凄い、悪いクスリでもやって、いやいや滅相も無い。そんな悪い人はいないよね、などと最後は妙にまとめるのであった。
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