ジャズにおける謎の美女の存在とその対処法についての考察

 「それじゃ6時45分くらいにライフタイムの前で待ち合わせしましょう」と、文字で書くと、おっ、なにやら艶っぽい話かと思われるかもしれないが、何のことは無い月一ライブの会のY尾君との業務連絡である。月一ライブの会というのは、たったいまでっち上げたネーミングだが、以前も書いたようにやはり音楽は生が一番という判断から僕とY尾君で急遽結成した団体である。もっとも「生が一番」なのは音楽だけではない、と言い切りたいことも多々あるのだが、今日は眠いのでその手の話はまた後日。あ、これを読んでるあなたにとっての「一番の生」は何かコメントかメールでお知らせ下さい。

 などと、一番苦手なエントリーの導入を軽くダッキングしたところで、日時は2月20日の夕方にワープする。仕事を切り上げて家に帰ったのが、6時半近かったので大急ぎで着替えて、配偶者の運転する車でライフタイムに向かった。6時45分に店の前に着くとY尾君はすでに来ていた。今日は地元宮崎の誇るジャズシンガー香月保乃と大西洋介ウィズゲストのライブを見るのだ。もっともライブは8時からなので、その前に腹ごしらえしようというわけだ。例によってライフタイムから歩いて1,2分のところの居酒屋に入る。7時前だというのにお店はほぼ満員。客の全てがサラリーマンだ。
楽しいライブでした バックの演奏もバッチグー

 おでんやY尾君のおすすめの何とかイカのしょうゆ漬けを食べる。勿論一杯やりながらである。話題はやはりこれから見るライブとこの間見たライブの話。ZEK TRIOは良かったとか、去年のクリスマスに見たリトル・ジャイブ・ボーイズのライブやそのとき偶然見ることの出来た香月&大西の歌と演奏についてああでもない、こうでもないと勝手なことを話し合った。その中でY尾君がふいに、「ところでお前のブログも誰が見てるか分からんぞ」などと言い出した。僕はあまりその手のことは考えないというか、僕のブログを見て気に入った人はコメントをくれるだろうし、気に入らない人は二度と来ないだろう、と適当に考えていた。つまり、興味を持った人は意思表示するという性善説(?)に立っていたのだ。サイレント・マジョリティなんていうのは政治の世界だけというか、メディアがノンポリ・アパシー(これも死語だな)を都合よく呼ぶ言葉だと思っていたのだ。

 一体なんでY尾君がそんなことを言い出したのか。多分きっかけは清水くるみさんがメールやコメントをくれたと僕が自慢したのが引き金になっていたとは思うが、とにかく、ネットは誰が見ているか分からないから気をつけろみたいなことを言われた。そのときは適当に返事をしていたが、その後いろいろ驚いたことが出てくるのだ。などと、伏線を張ろうとするのは止めて、1時間くらい飲み食いしてライブに足を運ぶことにした。もっとも用意周到なY尾君は早めにライフタイムに行き、後から二人来るからと念を押していたらしい。つい飲みすぎて時間オーバーになっても大丈夫だなどと強気だったが、そこはそれ、時間厳守が僕らサラリーマンの唯一の取り柄なので8時前にはライフタイムに入った。

 前回ZEK TRIOを見た席(シルバーシートと自嘲的に呼んだ席)は既に3,4人のグループに取られていたので、今回はステージから見て右側のピアノの前の席に座った。お客さんは20人くらいか。もっと大勢の人に見てもらいたいライブなのだが、と思いながらも、素朴な疑問が湧いてきた。それは「何故ジャズのライブには訳ありげな美人のお客が必ずいるのか」という、僕が10代の頃からフィールド・ワークにしていたテーマである。今回も、やはりその手の神秘的な女性がいた。ああ、僕の向学心が以前のままだったら、その謎を解くために突撃インタビューというか、「あ、ちょっといいですか、実はうちのカミサンがね~」というコロンボスタイルの質問話法というか、「コミュニケーション・ブレイクダウンは深刻な問題だ」というツェッペリン的課題の解決に向けた、もういいか、要するに「ナンパ」ってやつですか、それを、あの、若いころも出来なかったなぁ、と詠嘆にふけるのだった。

 そういえば銀閣寺にあったサーカス&サーカスでバイトをしていたS戸君からも、ジャズを好むお客さんはちょっと違うという話を聞いた。サーカスは普段はロック中心、たまにブルースやフォーク(そういえば雷徒人はどうしているんだろ。彼がステージに上がってかましてくれた「こんばんは吉田拓郎です」というギャグは忘れられない。ついでに「落ちて来い、落ちて来い」というフレーズが印象的だった歌も)のライブをやるお店だったのだが、あるとき山下洋輔トリオの確か3日連続くらいのライブを企画したのだ。当時その手のニュースはプレイガイド・ジャーナル(略してプガジャ、プレジャという一派がいたが僕たちは断固プガジャだった。それもニュアンスとしては平仮名の「ぷがじゃ」)か、エルマガジンに載っているくらいで、それを見てライブハウスに問い合わせが来るなどということはそうはなかった。

 ところが山下洋輔のライブが決まったとたん、毎日のようにサーカスの電話は鳴り響き「山下洋輔さんのライブがあるのは○日で間違いないですか」という確認が頻繁に入ったらしい。S戸君いわく「おまえな、たいてい問い合わせ言うたら、『○○のライブは×日で間違いないやろな』とか『チャージはなんぼや、そらぼり過ぎやろ、何考えとるねん、お前のとこは』みたいなのばっかりや。それが山下洋輔の客はみんな敬語つかいよる。しかも山下さんいうて敬称もつけて呼び捨てにするやつおらへんぞ」などという話を聞き、なるほどジャズオンリーの人たちというのはエスタブリッシュメントの人たちなんだと二人で妙に納得した思い出がある。
若いのに落ち着いたステージです MCもほとんどなし

 おっと、また余計な話が入ってしまったが、お客さんの数は少ないものの暖かい雰囲気の中でライブは始まった。そうそう、メンバーはボーカルの香月保乃、ピアノの大西洋介そしてベース、ドラムの4人編成だったが、なんとドラムはお店のマスターの草野氏。スタンダードナンバーが中心のライブはとても心地良かった。バックの演奏もあくまでボーカルを引き立てるスタイルで聞いていて気持ちが良かった。2部構成のステージだったが、エラ・フィッツジェラルドの名演で有名な「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」や、ヘレン・メリルでおなじみの「ユー・ド・ビー・ソー・ナイス~」などを癖のない声で歌い上げたのが印象的だった。途中、チューバじゃないや、ユーフォニアムというのか、ちょっと変わった金管楽器を吹いたりいや、昨年見たクリスマスのライブより遥かにパワーアップしたライブでした。

 あっという間に2部のステージが終わり、Y尾君と二人でライブの余韻に浸っていると、お客さんはほとんど帰っている。残っているのはたった今ステージを終わったメンバーとお店のスタッフだけだった。お店のママさんが仲介してくれたのかY尾君が無理やり話しかけたのか記憶にないが、気がついたら香月さんと一緒のテーブルでいろいろ話をしていた。どんなシンガーが好きかという話の中でジャニス・ジョップリンの名前が出てきたので、去年見たカルメン・マキのステージがいかに良かったか力説したが、カルメン・マキの名前を知らない(聞いたことはあるが)とのことだった。これを聞いて、僕たちはそんなことじゃいかんと声を荒げ、Y尾君が後日CDを持ってくるから聞けという乱暴な話になった。僕も酔っ払って大西さんに随分なれなれしい口を利いたようだ。

 そのあと、香月さんが以前に出したCDがあり、この店にあると聞き、オジサン二人はすぐに購入。しかも僕がサインをねだったら、Y尾君もついでにとCDを出す、困ったオジサンと化してしまった。話はずっとしていたかったが、気がついたらお店がクローズする時間になっており、次回も必ず見に来るといって僕たちはお店を去った。

 ええと、今回のライブレポートはやけに中身が薄いなと気がついたあなた、あなたは素晴らしい。実はこのときは調子になってアルコールを過度に摂取してしまい、ほとんど記憶がないのだ。こんなことではいかん。次のライブはしっかりレポートします。ところで香月保乃という名前、是非覚えておいてください。必ずこれから花開くシンガーです。あ、それから余計なお世話かもしれないがCDのジャケットの顔はちょっときつすぎ。実物は笑顔のチャーミングな女性であることを公然と宣言するっ。って何リキ入れてんだ、オッチャン。
件の金管楽器を演奏する

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コメント

なんやら、楽しそうでw

私も、 Edgar Jones & Jonesesだの、カルメン・マキ、板橋文夫、太田恵輔トリオ、Tchavolo Schmitt、Sonny Rollinsだのと、自分の気に入った音楽を相変わらず無節操に見に行く予定ですわ(いや、ホントに脈絡ないな俺)。

そういったなかでも特に楽しみなのは、5月にSteave Reichを東京で見る予定(http://www.operacity.jp/concert/compo/2008/)なもので、興奮しまくってます。彼の来日を知るのが遅かったのでインターネット予約は終了していて、直接劇場に慌てて電話をかけて、辛うじて最後に残ったS席を2枚だけ取れたので、もう嬉しくて嬉しくて。

石間秀機の「BGM」という自主制作(?)というより、自家製CDーRの手売りCDを聴きながら、ワケの判らん話書いてます。我ながら、偏った趣味だ…w

私がオトコだったら

「ジャズが好きなの」っていう女性、避けたいかも…。ま、個人の好みの問題ですが。
一番の生、私にとってはやっぱり花火でしょうね。生以外は認めません。特にデカいのは、やっぱ生じゃないとね~。

ライフタイム

は、ライブもさることながらランチがものすごく美味いのであります。
オフィスが近いのでときどきお昼に行くのですが、上品な味付けの日替わりランチは絶品です。ちょっと気難しそうなマスターがしゃかしゃか手際よく作るんですが、調理人と繊細な料理とのギャップがまたたまりません。機会があったら食べに行ってみてください。(^^)v
ところで「ゲイルズバーグの春を愛す」。オチがつきました。
詳しくは日記のコメントで(笑)

現代音楽からジャズ、ロックと

幅広くお聞きですね。もっとも今の僕もあまりジャンルにこだわらず、自分がいいと思うものを聞くという姿勢になって、かれこれ結構な年数になりました。もっとも若い頃の様に○○を聞かない奴はダメだみたいな言い方は少なくなったと思いますが、まだまだそういう思考の断片がこのブログには残っているような気がします。

ロリンズまた来日するんですか?もう年齢的に無理かと思っていたんですが、頼もしいですね。石間さんのCDは通販で入手したんですか?

僕も音楽はジャズを聴いてます

などと初対面でイケシャーシャーというような女の人は嫌いです。ただ、薄暗いジャズ喫茶で、紫煙もうもうとする中に文庫本を片手に長い髪を物憂げに書き上げるおねーさんを見てから、イノブタじゃないや、トラウマになり(by いしかわじゅん)、それ以来ジャズの現場付近に出没するおねーさん方の調査研究が、僕の課題となりました。ま、早い話がガキがインテリスノッブにやられちゃったというだけの話です。

そうですか、「特にデカイ」のは「生」じゃないとダメですか。うーん、どことなくインビなにほいが…。

昼間のライフタイムは

昔、若草通りの入り口にあった頃のイメージしかありません。カウンターだけの細長いお店(テーブルも奥にあったかな?)、という印象でとにかく紫煙神話空間でしたな。メシを食うとかおしゃべりを楽しむなどという雰囲気は一切なく、やたら求道的にジャズをみんなして聞いていました。高校の頃はロックしか聞いてなかった奴と大学1年の夏にばったり会って話をしたら、毎日ライフタイムでジャズを聞いてるなどとエラそうに言ったので、むかついて二度とそいつとは口をきかなくなったのも、微笑ましい思い出です。

ゲイルズバーグの話は日記に米書いときました。

もう、ニィフィだか、フィニィ、だかフニィだか、ミィフィだか・・夢でうなされそうです(笑)
表題作だけの感想コメント入れました。

そうなんですよ

いや、もう最近は自分でもワケ判らん状態です。自分の好きな音楽なら、もうジャンルは何でもいいみたいですw

なんやら、ネットで知り合ったFlower Travellin' Bandの好きな若いカナダ人のドラマーから、逆に日本のバンドを教えられて、BorisとかMONOとかも最近は聴いてます。こっちも、ROVOとかカルメン・マキ&OZとかそいつに教え込んでますけどw いや音楽なんてジャンルなんてもうないですよ。世界中でもう滅茶苦茶なんじゃないですか?別の若いベルギー人とか、日本語判らないのに三上寛とか友川かずきや武満徹とか聴いてるしw さっそくそいつには、尹伊桑教え込みましたがw

あ~、石間さんのはWebで直接買いました。サイン入っててちょっと嬉しい。

え~と、業務連絡

こら、drac-obさん。ちゃんとコメント書くとか言ってたが、元気になったなら、例のワケ判らん話のコメントちゃんと書きなさい。あそこまで書かしておいて、責任とらんかw でないと、またワケの判らん話の続きを書くぞw

音楽の件と業務連絡について

そうですね、音楽について以下同文という感じです。友川かずきや三上寛を言語が異なる国の人が聞いているというのは面白い現象ですね。僕たちはなまじ言葉が分かるだけに、歌詞に意味付与してしまう、それも場合によっては過剰な意味付与してしまう傾向がありますが、異言語間ではそれは無いでしょう。

ということは友川かずきの自称「でたらめ」というやつは、実は音楽のリズムではないのか、また三上にしても東北出身、ということから東北の言葉のリズムの持つ魔力に魅入られているのか、などと考察するのはお任せします。僕は、へぇ、そうなんだ、面白い的な観察者を演じておきます。An observation by Crimson Kingですな。

業務連絡は前のところに書いておきます。

う~ん、分析をお任せされても良く判らんです

いや、実は私は友川かずきとか三上寛とかあまり良く判らんのです。

FTB好きのカナダ人がカルメン・マキ&OZを聴いて、良く判らんと言ってたので、そりゃ日本語の歌詞が判らんから面白くないのだと、あのバンドの歌詞の凄さを縷々解説しました。でも、ベルギー人の場合には、日本語が判らないのにご指摘の通り、友川かずきとか三上寛とか聴いているということは、何か言語を越えた普遍的な音楽要素があるのでしょうな。いや、実は私には判らんので、どういうコメントをdrac-obさんがするか、気になったワケで。で、なんだかんだ言いながら、drac-obさんも回答書いてるところが、何だか笑えますw
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