ざくろの花のオレンジを六月の雨がそっとたたく時

雨に煙る町並みを~あ、これは甲斐バンドの「裏切りの街角」だ

 6月に入り、こちらは入梅したようだ。毎日しとしとと雨が降る。時には叩きつけるような雨も降る。雨が降ると、いや正確には雨が降る前は頭が痛くなるので、ブログの更新も停滞していた。去年の今頃は保谷でバイトしていたのだが、空梅雨だったのか、あまり頭痛に悩まされた記憶は無い。まあ、季節の事なので愚痴ってもしょうがない。今日は、ここ最近の身辺雑記でも書こう。 

 先日の日曜日は、9時過ぎまで布団の中でごろごろしていたら、実家の母から電話が入り、親戚を延岡まで車で送ってくれと依頼があった。丁度、車検の代車が軽ではあるが、まだ5000キロくらいしか走ってなかったので、配偶者と母と、親戚に僕という大人4人でもいけるのではと思い、トライしてみた。スズキのワゴンRだけど、いや、そこそこ車内は広いし、シフトレバーもサイドなので足元がゆったりしている。そして何より肘掛があるので運転が楽だった。その日も小雨模様だったがお気に入りのCDを適当に流しながら、片道80キロをひたすら走った。

 出発したのが11時前だったが、宮崎方面に向かう車は多かったものの、北上する車は少なく1時前にはT領うどんに着いた。延岡はもともとは内藤藩で7万石であったが、日向は幕府直轄の天領だったので、その名をつけた美味しいうどん屋さんがある(オイヲイお店の名前をイニシャルにした意味がないのでは?)。県北にいったときの楽しみの一つがこのT領うどんを食べることなのだ。僕は海老天うどんにおにぎり2個という、『日常の食生活を非日常においても貫徹することこそが真の革命家の道である』というゲバラの鉄則を守って注文した(あの、真に受ける人いないと思うけど、ゲバラはそんなこといっとらんからね)。おにぎりには佃煮風なものが皿に載っていた。オマケというかサービスである。いいな、得した気分だ。うどんが来た。見よ双頭の海老の旗の下に結集せよ、♪いえすうぃらりぃらうんざ~とライ・クーダーとランディ・ニューマンが一緒にやった「旗のもとに集まろう」を思わず口ずさんでしまうほど、ぷりぷりの海老さんが二匹合体したお姿で、衣をまとって麺の上に鎮座ましましているではないか。これで450円だー!!

 えー、やや取り乱したが、久しぶりに少年時代を過ごした延岡にやってきて、何をしたかというと祖父母の墓参である。祖父は僕が社会人として生活を始めた頃まで、生きていたのでその典型的な明治男としての頑固さや、教条主義的な様子はしっかり覚えているが、祖母は僕が小学2年の時に亡くなったので、覚えていることはあまりない。祖父は躾や行儀に厳しい人であったが、祖母は優しく穏やかな人だった、という印象しかない。僕は家庭の都合で4歳の時一人だけ祖父の家で半年暮らしたことがある。父母と会えるのは月に1回あるかないかであった。といっても、今流行の「ガバイ」なんたらというような話ではなく、生まれつきおっちょこちょいの僕が、祖父から「○○(僕の本名)、じいちゃんと一緒に延岡に行くか」と誘われ(当時、僕が住んでいた村から延岡に行くにはがけっぷちの切り立った道を走るバス、または焼玉エンジンのポンポン船に乗って1時間という子供にとっては、天城越えのような世界であった)、何も考えず付いていったせいである。おかげで当時通っていた保育園中退という立派な学歴をしょってしまった。

 その頃の話はまた気が向いたらネタにするかもしれないが、4歳の僕が親恋しさにべそをかいていた時、いつもなだめてくれたのが祖母だった。祖父は「男がメソメソするな」と一喝するだけだったので、余計祖母は優しいと感じたものだ。その祖母が僕が小学校の2年になるかならないかのうちに病気になり、ずっと家で寝たきりの状態になった。もっとも身体は動かせるのだが、きついので日がな一日布団をかぶって寝ているのだ。今考えれば、どうして入院させなかったのか。多分、自分の死期を悟っていた祖母が、家にいたいとの重いがあったのだろう。ああ、その優しい祖母に実は僕はとんでもないことをしていたのだ。

 当時、昭和30年代後半ではコドモがお金を持つことは滅多に無かった。いや10円くらいはオヤツ代で持ってるのだが、50円、100円というお金を持っているのは大ブルジョワジー(当時はそんな言葉知らなかった、当然だが)として遇せられた。大分の県境の漁村生まれの僕が、延岡市の小学校に行くことになり(そのときには父母も延岡に引っ越していて、また家族揃って暮らしていたのだ)、当然ヨソモノなので、なんとか近所のガキどもと対等、いやそれ以上の人間関係を持つためには経済力しかなかった。そして僕に毎日10円のオヤツ代をくれていた祖母は病気で寝たきりだったのだ。

 これ以上書くのは、気が引けるが、実は祖母は昔かたぎの人で、財布は必ず自分の枕元に、いや枕の下に入れて休むのである。そして、僕のその行為は一体いつから、どういうきっかけで始めたか、思い出せないが、なんと僕は、祖母が寝ているのを確かめた上で、その枕の下の財布を取り出し、小銭を盗むことをしてしまったのだ。それも1度や2度ではない。祖母も多分気がついていたと思う。時々は僕が手を突っ込んだ瞬間に寝返りを打って、財布を取れないようにしたこともあったのだ。祖母は半年くらい寝たきりの生活をして亡くなった。

 財布から小銭を盗んでいることを知りながら、祖母は僕と母を前にして「私が死んでも泣いてくれるのはあんた(母)と○○坊(僕の小さい頃の呼び名)だけじゃね」といって、悲しそうな顔をしたことが何度かあった。僕はそれ以来小銭ドロボウはやめた。それから、ある朝目が覚めたら母から祖母が亡くなった事を告げられた。良く意味が分からなかった。寂しいとか、悲しいとかいう感情の前に、いつの間にか親戚が集まっていて、普段会えないいとこたちとも会えて、そして学校は行かなくていいのである。正直うれしいという気持ちのほうが強かったのではなかったか。

 そんなことを思い出しながら多分10年ぶりぐらいになる祖父母の墓参をした。雨に煙る延岡の町を見下ろしながら、何度かため息をつきながら僕は公園墓地とは名ばかりの山の中の墓地を歩いた。

 えーと、こんな話を書くつもりではなかったのだが、指が勝手に走ってしまった。次回は、いつものエントリーに戻ります。

スポンサーサイト

コメント

そこ、突っ込むか!?

「万緑叢中紅一点」と読まれたザクロの花ですが、この「紅」は相対的な表現であって、一般的には「紅」というと、多少青が入った赤のことを指すようです。
ザクロの花には黄色、白、赤と白の絞りなどもありますが、やはり目にすることが多いのは、drac-ob さんが「オレンジ」と表現した色のものでしょう。
印刷業界で「金赤(きんあか)」と呼ばれる色があります。ご自宅にプリンタがあればご存じかと思いますが、印刷ではマゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の組み合わせで色を出します。金赤はマゼンタ100%+イエロー100%の、黄色がかった赤のことで、私はザクロの花については、この色を押しますね。
「オレンジ」というと、もっと浅い赤でもっと黄味の強いもの、さらに「オレンジ」という名称からくるイメージもありますので。
まあ、実際には色の表現というのは、大変難しいものです。

大塚まさじは

マイナーだから、致し方ないでしょうね。
ざくろの枝にホトトギスが止まって盛んに啼いていました。
ホトトギスの口の中が本当に赤いのがわかって「啼いて血を吐くホトトギス」の背景に納得したのは中2の春のことでした。

このエントリーのタイトルは

sawyerさんがご指摘されてるとおり、大塚まさじの「うた」という歌の最初の部分をそのまま拝借しました。いつもなら(by大塚まさじ)と入れるのですが、ちょっとタイトルが重たくなるかなと思い、そのままにしたので狸さんには誤解を招いたようで失礼しました。僕がタイトルで重視したのは「六月の雨」のほうで「ざくろ」はあまり気にしてなかったのですが、毎度の事ながら狸さんの植物に関する深い知識と愛情がうかがわれます。

などと、今回のコメント返しもいつもとちょっと趣が違うのだ。

sawyer先輩、毎度のフォロー

ありがとうございます。恥ずかしながら「花鳥風月」にはとんと縁が無いというか、何を見ても一緒という風流には無縁な人間ですが、「啼いて血を吐くホトトギス」というフレーズだけはちょっと来ますね。何故か「籠の鳥」という古い歌のフレーズが浮かんできました。ここ最近のきな臭い世の中を見ていると、僕も「籠の鳥」なのかなと思います。出来れば「赤い鳥」のほうが良いですが…。

これは、これは!

大変失礼をいたしました。
ポンポン蒸気で細野晴臣に引っぱろうかとも思ったのですが、どのアルバムだったか思い出せず、探すのがメンドーなので(苦笑)、お茶をにごしてしまいました。
こーいう安易な性格だから、墓穴を掘るのですなぁ。

細野晴臣のポンポン蒸気というと

「泰安洋行(=ボン・ボヤージ)」でしょうか?今でこそトロピカル路線などとシャレた言い方をしていますが、早い話が南洋歌謡というか戦時歌謡というか「私のラバさん、酋長の娘、色は黒いが南洋じゃ美人~」的な音楽じゃねーかと、アルバムリリースの頃は結構小ばかにしていました。しかし、ワールドミュージックというジャンルの先駆的作品群であったのは間違いないですね。僕としては越美晴とジョイントした作品が好きです。早い話が、越美晴が好きなんですが…。
非公開コメント

プロフィール

drac ob

Author:drac ob
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

QRコード

QR

鳩時計

フリーエリア

ブログ内検索