誰がカムパネルラを殺したのか、そして図書館の在庫管理はどうなっているのかという話

カムパネルラ

  年末に図書館で、山田正紀の『カムパネルラ』を借りた。日曜の新聞で書評を読んで興味を持ち、図書館で借りようとしたが、既に貸し出されていたので予約した。その段階で何人か予約が入っていたので年内は無理だと思っていたが、予想外に早かった。

 もともとSFは好きだったが、最近はほとんど読んでいない。何年か前に日本の歴史を操るネズミの話を読んだくらいだ。今回の本に興味を持ったのは、いわゆるタイムスリップの話ではあるが、優れて今日的な話だと思ったからだ。つまり、もう直ぐに、これから直ぐにやってくるかもしれない管理社会の話だと思ったからだ。

 ネタバレにならないよう、ストーリーを書くと母の遺言でその遺骨を宮沢賢治の生家近くの川に散骨しに行った主人公が『銀河鉄道の夜』の世界に迷い込む。しかし、その世界は原作と少し異なり「美しい日本」のために自己犠牲を賛美する思想を若者に浸透させようとするメディア管理庁の陰謀の手が蠢いていたのだ。

 宮沢賢治という作家というか詩人は、どうにも苦手だった。だいたい、雨にも負けず風にも負けない男がなんでデクノボーなのか、とかね。風の又三郎より、オレは北風小僧のカンタロウのほうが良いなとか、あるいは裁判に強制参加させられて、その報酬がドングリってのもちょっと嫌だなみたいな違和感てか、軽い嫌悪感があった。

 この小説を読んで、宮沢賢治の自己犠牲の思想は、確かに今の『子供達を乗せた船が敵から攻撃を受けても、今のケンポーでは何もできないんでつ、キリッ』とヒステリックに叫ぶ我がポンニチの最高権力者が喜ぶてか、親和性があると思う。ま、どんな思想だろうが、それを悪意に取れば何でも正当化できるから宮沢賢治の責任では無いけど。

 年末年始の休みの合間、それもお酒を飲んでいない夜の寝る前に読んでいたので、返却日までに1回と半分しか読めなかった。いろいろと再検証したい箇所もあったので、貸し出し延長を図書館のホームページからしようとしたら、次の予約が入っていた。仕方がないので、一旦返却して又新たに貸し出し予約するつもりだった。

 返却日は平日だったので、夜の7時までに返しに行くつもりだったが、雑用もあって図書館に着いたのは7時を回っていた。窓口は閉まっていたので、夜間返却のポストに投函した。

 その翌日に図書館のホームページから貸し出し予約を入れようとしたが出来ない。調べてみると、まだ僕が借りたままになっている。年が明けて、図書館も利用者が多く忙しくて事務のてが回らないのだと思っていた。

 それから数日して、昼休みにスマホのメールをチェックしていたら図書館から返却督促のメールが来ていた。読んでみると、お前が借りた本をいつまでも返さないから迷惑しておる。ついては裁判をするのでネコネコ山の裁判所に金色のドングリを持ってやって来い。遠くて大変なときは夜鷹のタクシーを使ってもいい。

 などとは書いて無かったが、要は、はよ返さんか、ボケという内容だった。昼休みではあったが、僕は直ぐに電話して本は当日、返却ポストに入れたことを説明したが、受けた人間が何とも要領が悪く、「えーと、おたくが借りたのは、カン、カン、えーとカンパン、ネラ?」みたいな対応で時間ばかりかかる。こちらは、休み時間を使って電話してんだよと、ちょっと強い口調で言うとあたふたして、担当の窓口に代わるから少し待てと言われ、相当な時間待たされて、やっとその窓口に繋がった。

 今度は、やたら冷たく感情の入らない声で、再度、名前と電話番号、用件を聞かれた。全て答えて、本は締切日の夜に返却した事を話したら、「いえ、こちらのデータではまだ返却されていません」と言われた。いや、だから、そちらのデータじゃなくて、返却ポストに入れたんだから、そこを探せば出てくるってーの、だいたい締切日の翌日にはちゃんとチェックしておくことじゃ無いの?借りるの楽しみにしている人がいるんだから、延滞料をあてにするレンタル屋みたいなことするなと、これは流石に口にはしなかったが、まあ、気分はそんな感じだった。

 それから図書館は何も言って来ない。昨日、ホームページをチェックしたら無事に『カムパネルラ』の予約は出来たが、そこには本を追加購入したみたいなことが書いてあった。やっぱり出て来なかったが、もう督促が面倒なので補助予算を使って購入したのか?

 あまり気分は良く無いが、本日も図書館に行き『宮澤賢治伝説』を借りて来たので良しとするか。

※追記~書き忘れたが、この本の初版は奥付を見ると、2016年『10月21日』となっていた。確信犯だ。


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