レコードコンサートも企画は大変だという話

 勤労感謝の本日は、市立図書館で行われたレコード・コンサートに行ってきた。レコード・コンサートとはずいぶんレトロな名前のイベントだが、これを主催しているのが宮崎真空管アンプ愛好会という団体。そこがボランティアで毎月市立図書館で様々な企画を行っている。このイベントに初めて参加したのは今年の2月11日。その時は、ジャズの名演奏聴き比べ的なメニューで、ビッグバンドからフリーまで幅広く聴けて、特に感動したのはフィル・ウッズのファイブ・スポットのライブ。なんとピアノは大好きなデューク・ジョーダンで演奏はゴリゴリのハード・バップ。しかも真空管アンプも複数あって音の比較もできたし、レコードがモノラルかステレオかでカートリッジを交換するという丁寧さ。2時間あっという間でした。これで味を占めて次のトランペット特集にも参加したが、こちらはしんどかった。トランペットのリーダー作を2時間続けて聴くのはちょっとした苦行。最後にドン・チェリーをかけるはずだったが、聴いてるお客さんの疲労度を見て中止したのはまさしく英断だった。

 ま、そういうことがあったので今月、図書館の掲示板に「JAZZスタンダードナンバー聴き比べシリーズ第3弾 アランフェス」というリーフを見たときも、少し考えたが参加はあまり気乗りがしなかった。しかし、昨日、エントリーにもアップしたが地元の公立大の学長が突然亡くなり、そのことを関係者に連絡していたのだが、その中の一人であるY尾君から電話があり、一通り林学長と一緒に参加した「ジャズとアメリカ文学入門」の市民講座の話をしている途中で「ところで明日、図書館でアランフェスの聴き比べがあるから行こう」と誘われ、勢いで行くといってしまった。こういう場合は突然のハライタによるゲルニなどの対応もあるのだが、まあものは試しというし、前回のラッパ大会のようなことはないだろうと最終的には行くことにした。実は別の目的もあったのだが、それはまだマル秘企画なのでここにはかけない。

 ということで、13時30分開演のレコードコンサートに15分前に到着。入り口ドアに数名人がいる。意外と今回は参加者が多いかもしれんと焦って会場に入ったら、100人ほどの席に10数人くらいの入り。真ん中より少し後ろの中央席を確保。もらったプログラムを見ると下記の通りだった。

 1曲目はDorothy Ashbyというジャズハープ奏者のアランフェス協奏曲。音源はLPレコード。ジャズのハープシコードプレイヤーというのはアリス・コルトレーンくらいしかいないと、これはこのレコードコンサートのMCの言葉だったが、確かにジャズでハープ奏者というのは聴かない。1曲目の演奏でこちらも体力気力が充実していたので、非常にすんなり聴けた。家に帰ってYOU TUBEで検索したら、かなりアップされていて本日聴いた演奏もあった。録音は83年で日本企画盤だ。ま、いかにもアランフェスという感じの演奏。しかし、この曲のイントロ聴くと反射的にチック・コリアの「スペイン」を連想してしまう。



 2番目にかかったのはローゼンバーグ・トリオというジプシー・ギター・トリオ。音源はCDで、ジャンゴ・ラインハルト直系もギター・トリオ。リズム・ギターとベースが兄弟で、リード・ギターが従兄弟という血の濃いトリオだ。どこかで聞いたようなバンド構成だなと思ったが。なんだビーチ・ボーイズみたいじゃん。しかし、ジプシーというのは今はサベツ用語になっているのでロマというのは有名だが、じゃなんでジプシーがあかんかというと、要するにヨーロッパ中を移動、定住を拒否し歌舞音曲で生活費を稼ぐ。宗教はキリスト教ではないし子供はかっぱらいをするし、というわけでパツヨロの良識ある連中からは胡散臭く思われていて、その非定住の団体はエジプトから来ていると思われていた。エジプト人だからエジプシャン、しかし最初のEは発音しないのでジプシャン、ジプシーと呼ばれるようになった。ジプシーというのは英語の呼び方で、フランスではタバコで有名なジタンとかボヘミアン、ドイツではチゴイネル、そうチゴイネル・ワイゼンのチゴイネルだ。しかし、それらの呼び名は外部の人間が勝手につけたものであり、当人たちはオレたちゃロマだと主張し、今に至っている。この間、シュリンプとかいうマッチョ思考の男が世間を騒がせたアメリカの、本来の原住民を後から来た連中が自分たちはインドに到着したと勘違いして彼らをインディアンと読んだようなもんだな。などと偉そうに書いたが、これは今日の司会者の受け売り。演奏はあんまりジプシージャズという感じではなかった。

 3番目はお待たせしました。本日の目玉の一つ、ジム・ホールの「コンチェルト」。75年に録音された名盤ですな。なんと音源はハイレゾ。確かに奥行きのあるいい音でした。しかし、このアルバムはクリード・テイラーがプロデュースした作品で一番有名なんじゃないだろうか。アルトにポール・デズモンド、ラッパがチェット・ベイカー。ローランド・ハナのピアノにベースはロン・ウッド。ドラムは若き日のスティーブ・ガッド。なんていうか、オール・スターですな。およそ20分の演奏だが長さを感じない。テーマを弾いた後に、各自が取るアドリブの素晴らしさ。名曲アランフェス協奏曲のジム・ホール的解釈。ジャズとクラシックの融合ではなく、クラシック素材をオレが弾いたらこうなるという自信にあふれている。



 4曲目はAmalia Rodoriguesの「わが心のアランフェス」という歌もの。音源はLPレコード。残念ながら僕は幸運時間だったので聴き逃した。幸運時間とは何か、関西の方には猪木ピンチ・タイムといえばお分かりだろう。何、分からない?そうか、いまどきのお子達はBI砲を知らんから。その昔、プロレス全盛期に日本最強タッグがBI砲、つまりジャイアント馬場とアントニオ猪木のタッグだった。タッグの試合は最初は年下の奴が出ることが多く、BI砲の場合は猪木が最初に出て暴れることが多かった。しかし敵陣に深入りし、卑怯な外人チームはレフリーが見ていない間に凶器を使ったり、急所攻撃したりしていよいよ猪木がアブナイ、つまりピンチになる。しかし一瞬のスキをついて馬場にタッチ。ついに馬場が出る。つまり猪木がピンチになれば馬場が出るのだ。なにまだわからん。あとはググれカス。

 5曲目はベースの藤原清登がリーダーのトリオで「アランフェス協奏曲」を演奏。ウッドベースをアルコで弾いて、もうほとんどクラシックと変わらない。音源はCD。このあたりからだんだんアランフェスのあの哀愁あるメロディが苦痛に感じ始める。

 6曲目は坂元輝という立派なポンニチ名がありながら、何故かTerry Hermanなどと名乗ってピアノトリオで「ブルー・アランフェス」。輝がTerryに、坂元はハンモトとも読めるのでHermanと名乗ったと司会の人が言うが、笑う気力もあまりない。また丸丸クラシックと変わらない演奏。こいつらみんなクラコンじゃ。音源はLPレコード。

 7曲目は男性ボーカルでアランフェスというわけで、イケメン男性ボーカルカルテット、イル・ディーボである。音源はCD。歌姫はディーバ、男はディーボになる。マリアだと女の名前、男だとマリオになると説明を聞いたが、イル・ディーボよりテクノのDEVOが聴きたい。イル・ディーボよりうぃあーでぃーぼ、ディーイーヴィーオー!!!



 8曲目、今度はコラボでアランフェス。MJQがブラジルのミュージシャンと共同制作(コラボレーション)した演奏。LP音源だが、レコーディングのレベルの関係だろうか、音がこもっている箇所とクリアな箇所があり、なんだか良く分からなかった。しかし、ギターでやろうがピアノだろうが、ベースでもサックスでもラッパでもましてやビブラフォンで演奏してもアランフェスはアランフェスだという結論に達していた。

 9曲目で怒りは頂点に達した。塩田美奈子とかいう国立音大出の女性シンガーがなんと「恋のアランフェス」というタイトルでラブソングにしてしまった。それもアニメの挿入曲みたいにゲロつまらん。アランフェスはスペイン内戦で被害を受けた故郷を思って作られた名作だというのに、なんだこのつまらん歌は。スペイン内戦に参加したすべての反ファシスト市民に謝れ。ヘミングウェイに謝れ、ジョージ・オーウェルに謝れ。ついでにクラッシュにも謝れと激怒するが、疲れて声も出ない。音源はCD。

 10曲目、いよいよオーラス。マイルスとギル・エバンスオーケストラの「スケッチ・オブ・スペイン」である。音源はLPレコード。マイルスがこの作品を出したことでアランフェスに注目するジャズミュージシャンが増えたらしい。スコア通りに演奏するオーケストラの間隙をぬってモード奏法のマイルスがゆっくり吹く。ポール・チェンバースのベースもジミー・コブのドラムも後年ポンニチの若手ジャズメンに大きな影響を与えるエルヴィン・ジョーンズのパーカッションも流石である。やはりマイルスはすごい。君には参るす。などと昔のギャグを入れたが、やはり最初に思った通り、今回はマイルスとジム・ホールだけがジャズの矜持を示してくれた。しかし、当面アランフェスはいいや。


スポンサーサイト

コメント

空 震度岩

確かに ネタを考える人の苦労は 大変ですが、同じ曲の聴き比べってのは、どう考えても しんどいですね。YESTERDAYだったら 1時間半で 30バージョン位 聴かなきゃならなくなります。アランフェスのイントロは印象的です。頭にちょっと拝借したチックコリアSPAINも名曲です。ジムホールのアランフェスは もう有りません。大ベストセラーでした。一曲×10バージョンは あんまりだから 三曲×3バージョンにすると JAZZ入門ガイドとかに 必ず出て来るような ありふれた3枚かけましたになって、社福君に「あんた、そんなのを選ぶようじゃ レベルしれてるな。何も知らんのやな。」と言われそう(笑)。難しいよね。ジプシー達が 実際には 自分たちをGYPSYと呼んでないように 我々がJAPANと呼んでないように 英語表記の国名には その国の正式国名と かけ離れた英語国名が いっぱいあります。エジプトの正式国名をアルファベットにすればMISR、ギリシャはELLADA(またはELLAS/HELLAS)、フィンランドはSUOMIです。余談の余談で すみません。それと、エジプトの漢字表記「埃及」って 失礼すぎるだろ。

本間似 木津勝田出酢

その昔、学生時代に音楽マニアとオーディオマニアというのは似て非なるものではないかと考えたことがあります。今回、一緒に聴いたY尾君は高校の同級生ですが、彼と帰り道話したのは、自分たちが音楽を聴き始めたときは、トランジスタラジオやカセットテープに録音したものを聴いていたので、再生装置にそれほど執着しなかった。ステレオになれば音が良くなるくらいの認識はあったけど、アンプはマランツ、スピーカーはJBL、カートリッジはシュアとか、そんなんどうでもよかったですから(笑)。

DRACでも、オーディオに詳しかった人は意外に音楽のことはよく知らない傾向があったと思います。まあ、それでもこの手のイベントでは新しい発見もあるので楽しいですけどね。ただ、新年企画の真空管アンプVS半導体アンプとかアナログvs CD vsハイレゾなどの聴き比べ、各種真空管アンプを使っての聴き比べってのは、ちょっとパスします(笑)。

社福男も元気で千三つ言ってるといいですけどね。

見事な返しタイトル

木津の後に勝田を持って来るとは 流石ですね。連続暴行殺人鬼 勝田清孝は、木津消防署員でした。更に 木津消防署ってのは、奇しくも…と繋がるわけで。感服しました。私も よくご存じの様に 針が飛ばなければOK程度で、オーディオには 興味ないですね。アンプが三洋、スピーカーは 潰れたミニコンポのリアスピーカーです。オーディオと音盤 知識 両方兼ね備えてたのは、やはり エジンバラ公だけかな?(笑笑)

木津消防署員といえば

マス坊の職場ですが、今や彼も立派な管理職でますます蔵に磨きがかかっているようです(笑)。僕もオーディオに関しては、全く関心興味はなかったです。一応、耳学問としてコンポーネントステレオを組む時はプレイヤーはどこ、アンプはどこ、デッキはなどといってましたが、まあ最終的には音が鳴ればいい。細かな音の聴き比べをするより、その音楽を作った・演奏した人間たちのダイナミズムを感じろと心の中で思っていました。
非公開コメント

プロフィール

drac ob

Author:drac ob
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

QRコード

QR

鳩時計

フリーエリア

ブログ内検索