2009-08

どうでもいいような昔話 一応初海外旅行編

 先日、K平さんからベトナム旅行をしてきたというコメントを頂いた。K平さんのコメントは毎回長文で読み応えがあるのだが、先だってのコメントも僕のしょうもないエントリーからオートバイというキーワードを抽出して、そこにベトナム旅行の印象を入れるという技ありの話だった。そのコメントを読んでいるうちに、僕はあるエピソードを思い出した。それは生まれて初めての海外旅行に行ったときの話で、もうとっくの昔にエントリーにアップしたはずだと思い込んでいた。しかし、過去の記事を検索してもそれらしい話は出てこない。もしかしたら誰かのコメントのレスに書いてしまったのかもしれないが、せっかく思い出した話なので、今日はその話を書いてみよう。

 僕が初めて勤めた会社は、もう既に倒産して無くなったのだが、カメラやコピーでおなじみのリ○ーの教育機器を販売する会社だった。視聴覚教材として一世を風靡したリ○ー・マイ・○ィーチャーを販売する会社だったのだ。社名は日本教育企画株式会社(略称がJEP)という、いかにもそれ風な名前の会社だった。まあ、右も左も分からない学生気分の抜けない僕をビシバシ鍛えてくれた会社で、社員もユニークな人が多かった。そうそう、去年の12月に書いたキャンプのエントリーは、この会社に在職したことのある連中が集うイベントで、もう結構長く続いているらしい。しかし、この世知辛い世の中でたまたま一緒の会社にいたというだけで、それぞれの付き合いが続いているというのは、やはり同じ釜の飯を食っていた時期がきついことも多かったけど、今となってはいい想い出になっているんだろう。普通、辞めた会社の人間とはあんまり顔を会わせたくないからな。

 で、その会社の話はどうでもいいのだが、営業会社だったのでセールスコンテストがしょっちゅうあった。その中で一番大きなイベントがビッグ・サマー・キャンペーンといって、全国の販社が参加するイベントだった。テーマソングというかキャンペーンソングもちゃんとあり、作曲はなんと神津善行氏である。♪君は何を見た、あの空の下で〜、と始まりサビは♪ビッグ・サマー、ビッグ・サマー、勝利を我らに〜で終わるその歌はキャンペーン期間中毎日聞かされ続け、いい加減耳がタコになった。あ、歌わされたりもしたっけ。新人だったから声が小さいなんて怒鳴られたりもしたな。で、そのキャンペーンというのはビッグ・サマーというだけに7,8,9月という夏の暑い盛りに営業数字、早い話が販売台数と金額を競うもので、これに全国のリ○ー・マイ・○ィーチャーの販売会社が参加し、そこで目標をクリアしたら海外の表彰式に参加できるという特典が付いてくるわけだ。

 僕が入社した年のビッグ・サマーの表彰式は香港だった。しかも例年よりキャンペーン期間が1ヶ月長く6月からのスタートで、新人セールスだった僕は訳も分からず、キャンペーンソングを歌わされ、ハイオアシスをはっきり言わされ(これ完全楽屋落ちです)、毎日現場を駆け回り決め手七則だとかクローザー鉄則とか内容もよく理解しないまま毎日を過ごしていた。で、数字は全然良くなくて、それでも先輩社員が自分の数字を乗せてくれて、ええと、確かあれは82年か、82年に入社した新人セールスはほぼ全員表彰式に招待されたのだ。ま、思うに右も左も分からないアホ新人なので、タダで海外に行かせてやったら、感激して一生懸命商品を売るだろうなどという会社の経営陣の狙いもあったのだろう。その見込みがどうだったかはあえて書かない。ただ、このとき海外に一緒に行ったメンバーで最後まで会社を辞めなかったのは僕一人だった。その判断が正解だったかどうだったかはあえて書かない。

 ちょっと辛気臭くなってきたので、先を急ごう。真夏のセールスキャンペーンを大して数字も出せずにいた僕たちは、先輩の営業マンが関東で出張営業をしているあいだ、宮崎と鹿児島を行ったり来たりしていた。なにせ誰一人キャンペーン数字なんかクリアしてないのだから、海外に行けるなどとは夢にも思ってなかったのだ。しかし、ある全体会議の場で、社長が「キミタチの未来に賭ける。先輩社員はみんな海外に行った事があるがキミタチは無いだろう。九州はダメ社員ばかりだが、関東の売れる社員と一緒に海外に行って大いに遊び大いに勉強したまえ。」とかなんとかまとめればコレくらいの話を確か延々2時間近くして、聞いていた僕たちは、海外旅行は結構ですから、会議を早く終わってくださいと心の中で念じていた、といういきさつがあるのだ。

 そうそう、その時は部門全体の成績が悪い中でも、僕のいたチームはちょくちょく数字が上っていたので、社長から「九州の人たちは福岡空港からの出発になるから、前の日に車で福岡に行きホテルに泊ってから行けばいい」などという言葉を貰っていたのだが、いざ出発の月になると、数字が悪かったので「何が、ホテルだ。その日も通常通り仕事をして夜中に車で走って来い」といわれた。で、しょうがないから出発の前日の夜、レンタカーを借りて唯一の管理職のM崎さんが運転して、まだ高速の通っていない鹿児島〜熊本をひたすら走り、夜明けくらいに福岡空港に着いた。

 そのワンボックスのレンタカーに乗るときに僕は『何が海外だコノヤロー』と不貞腐れていて、当時ボーナスで買ったばかりのウォークマンにスターリンのテープを入れて聞いていた。頭の中では当時の会社の社長訓話や仕事のことなどを考えながら、「吐き気がするほどロマンチックだぜ〜」とか「どうせウソだとわかっているさ、行き着くところも決まっているさ〜」などというフレーズに激しく共鳴しつつ不貞寝していた。他のみんなは旅の初騒ぎ(by 山下洋輔)というやつで、やたら大きな声で話をしていた。鹿児島の会社を出たのが、確か夜の10時を過ぎていたので、M崎さんは夜道をひたすらかっとばしていた。途中目が覚めて窓から見ると、球磨川沿いの細い道をくねくね曲がりながら走っていた。何とはなしに頭脳警察の歌が浮かんできたのを覚えている。「道なき道を我武者羅に手探りで走ってきた、今まで、暗くて何も見えなかった、涙で何も見えなかった。何回と無くころびよじれ流され、頭からつま先まで汚れきってしまった〜」という奴だ。全くオレの人生そのものの歌だな。

 それからどうやって福岡空港に着いたのか覚えていない。次に覚えているのは日本航空のジェットに乗ったのはいいが、乗客は僕たち確か6人だけで、フライト・アテンダントなどというふざけた名前は当時はなく、花のスチュワーデスという人たちが、僕たちの席の横に座りいろいろ話をしてくれたことと、機内食で出たステーキが沖縄のもので上等ステーキ(by シマブクレコード)だったことだ。ウソツケという声が聞こえてきそうだが、本当に客は僕たちだけで、そして2人ずつ座っていた僕たちの席にスチュワーデスさんが座って、いろいろ海外旅行の心構えなど話してくれたのだ。ウソじゃないって。その時の会話で覚えているのは「皆さん、どんなお仕事されてるんですか」と聞かれて、あ、教材のセールスですと答えようとした僕を差し置いて、社長の甥っ子のN澤君が「教材のディーラーです」などと猪口才な返事をしたこと。それと昔はチョイ悪だったW辺君が「香港に着いたら、どこか美味しいところで一緒にメシ食いましょう」とスチュさんの中でも一番可愛いと目をつけていた人に下心丸出しで話しかけたら「せっかくの皆さんの旅行のお邪魔をするわけにはいきません」とあっさり断られたことくらいかな。

 飛行機は快適なフライトだったと思う。ただ香港の空港に着陸するときは、びびった。映画の「燃えよドラゴン」で見たのと同じ景色の中ジェットが着陸するのだ。よくビルにぶつからないものだと感心した。空港に着いて当然税関を通ったはずだが、ここも記憶に無い。今のようにスリムなパスポートではなく、真っ赤な表紙に菊の紋が入ったでかいパスポートの時代だったので、何か覚えていることはないかと考えたが目つきの悪い係員にハンコをドンと押されたところしか覚えが無い。とにかく、晴れて香港に入ったわけだ。そうそう、当時の香港はまだ中国に返還されておらず英国領の時代だ。パスポートも1年用と数次用(確か5年間有効だったかな)の時代だった。いやー、古いな。

 あ、思い出した。飛行機に乗っていたのは僕たちだけじゃなかった。九州各県のコンテストの入賞者達が福岡からとか熊本からとか長崎からとか集ってきていたんだ。そうそう、福岡空港で結団式があり、そのときリ○ーの係員の手違いで帰りの飛行機の時間が事前に通知していた便と異なるため、帰国する時間が遅くなると説明があったところ、パンチパーマでドスの効いた声のオッサン(後で聞いたら福岡でも有名な販社の社長さんだった)が「こら、お前、そんな勝手するな。この人たち(横にやたら化粧の濃いオバサンが2人いた)、帰りにご主人が迎えに来てくれることになってるのに時間が変わったら困るだろうが」などと喚き始め、ケバオバチャン二人も「そうや、困るわ」と声をそろえて騒ぎ出した。結局、その二人のご主人には係員が責任持って連絡するということで話が付いたが、いや、こんな半ヤクザ・チンピラみたいな人たちと一緒に旅行するのは気が重いなと思った。

 で、ようやく香港空港に到着してそのまま団体さん用のバスに乗せられタイガーバームなんたらという動物園だか遊園地だかよく分からないところに連れて行かれるのだが、すまん、ここまで書いたら疲れた。一番書きたかった話はこの日から3日後なのだが、そこまでたどり着けなかった。もう一度記憶を整理して書くことにして、今日は終わり。しかし、いよいよオイラのエントリーもつまらなくなっていくな。これも夏ばてなんだろう。

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