2009-06

ヤングな僕のぽっぷす・なう その4

 先日「鳥肌音楽」で、渋谷陽一のことを取り上げていて、珍しくsugarmountain君が怒っていたのでなだめておいた。先輩の気配りである。そのときにチェックした情報でロッキング・オン社が清志郎の追悼号を出すとのことで、昨日、本屋に寄ったら1冊置いてあったので買った。清志郎が過去に受けたインタビューの再録で、半分は既読だったが後半部分は初めてだったので結構興味深く読めた。写真もなかなかいいものが多かった。しかし、まえがきに渋谷“ザ日経”陽一氏の「清志郎が教えてくれた自明の事」という文章の中でちょっと気になるところがあった。もちろん、清志郎を何度もインタビューして、しかも同年代だということで渋谷氏の思いや考えが反映された文章で、それについてどうこう言う気はないが、かってロッキング・オンをそれなりに愛読してきた人間としてちょっと言っておきたいことがあるのだ。

 もともとロッキング・オンは『ロックファンによるロック専門誌』をうたい文句としていたはずだ(『21世紀の精神異常雑誌』なんてコピーもあったが、いつの間にか消えてしまったけど)。取り上げるアーティストはそれなりに先鋭的な、いわゆる小理屈の好きそうなミュージシャンが多かった(このあたり反感買うかな、ま、でも実際そうだもんな)。今でも覚えているエピソードはディランが来日した78年の編集後記かなにかに「ボ」と1文字書いてあって、一体なんだと思っていたら「ディランが来日したのに本誌では何も触れてないので、ボブ・ディランの『ボ』の字に触れておいた」みたいなことが書いてあった。あ、あれは渋谷氏ではなく橘川氏だったか。

 まあ、そういう雑誌だったので日本のロックミュージシャンは松村雄策を除いて(正確にはバンド、イターナウ)登場することがなかった。ましてや雑誌の表紙に取り上げられることはなかったのだが、清志郎とチャボが81年に登場して、以来頻繁に取り上げられることになった。もっとも、それ以外の例えばパンタであったり、めんたんぴんであったり、センチメンタル・シティ・ロマンスであったり70年半ばに商業的には苦しい中、日本独自のロックを展開しようとしていた連中の記事など、少なくとも僕は全く読んだ記憶が無い。あ、後年東京ロッカーズはちょっと記事になったかな。

 少し話が見えなくなってきたが、僕が気になった渋谷氏の文はこういうものだ。『清志郎には多くの事が自明の事だった。…日本のロックは日本語で歌われるべきである。そんな事は自明の事だ。しかし当時は、大マジに日本語のロックは可能なのか、という議論が当たり前のように行われていた。30年経過すれば明らかになる事を、彼は当時から分かっていた』

 ええと、ひいきの引き倒しという言葉がありますが、どうもそれじゃないかな。勿論、清志郎のあの独特の歌詞、言語感覚の素晴らしさは十分認識しているつもりなのだが、少なくともRCがロックの衣装をまとい、シーンに再登場してきた80年にはロックにおける日本語論争なんてなかった。日本語はロックにならない、などという議論(?)は、あのユーヤさんがニュー・ミュージック・マガジンでFTBとか頑張ってるのになんでURC(ウラワ・ロックンロール・センターではない)の連中だけが評価されるのか、というやや逆恨み的な発言をきっかけに70年代初頭におこった、ま、いわばコップの中の嵐だ。

 そのほかにも『“ぼくの好きな先生”というテーマでディープなロックを歌う』というところや『“君が代”はロックになる、それも自明の事だったのである』とか、うーん、どうなんでしょう(ここいわゆるひとつのチョーサン主義者的に発音してください)と思うところもあるのだが、今回のエントリーは渋谷社長批判が目的では無いのでやめる。あ、お断りしておきますが、ロッキング・オンの果たしてきた役割、70年代における渋谷陽一の評論など僕は評価しています。「日本ロック雑誌クロニクル」という本を以前購入し、それ以来一度日本のロック雑誌についてきちんと書いてみようと思ってずるずるになっていますが、近い将来、ちゃんと書くつもりです。ま、予定は未定ですが。

 で、その清志郎追悼の雑誌と今日のエントリーがどのようにシンクロするかというと、アルバム「COVERS」を発売直後のインタビューが載っていて、その中に「バラバラ」という曲はチャボが選んだという部分を読んで、何か頭にひっかかるものがあったのだ。♪マベビベビバラバラ、マベビベビバラバラ〜という意味の無いフレーズが延々と続く「バラバラ」だが、どっかで別の曲とシンクロする、あれは一体なんだ…。あ、想い出した!!「スィングスィングバルバラ」だっ!!ということで映像をどうぞ。



 いやー、一体全体どうしてこんな曲がヒットしたのか、よく分かりませんが一頃ラジオで狂ったようにかかっていました。しかし、その後ぱったりと聞かなくなりました。こういういわゆる一発屋というのはヒットポップスの世界には数限りいますな。K平さんのリクエストもあったクリスティの「イエロー・リバー」もその中の1つですね。



 いやー、プロモーションビデオが出ていたとは知りませんでした。てっきりあのモノクロっていうかややくすんだ感じのレコードジャケットを貼り付けた、音楽のみの動画だと思っていたら、こういうしっかりした映像があったんですね。クリスティといえば「アクロイド殺し」や「そして誰もいなくなった」とか「ABC殺人事件」など数多くのヒットを飛ばした女流作家ですが、ってそりゃアガサ・クリスティだろっての。ほら、スタン・ケントンのピアノをバックにしっとりバラードを歌い上げたって、そりゃジューン・クリスティだろって。…えーと誰も止めてくれないので自制します。ま、このヒットポップスにおける一発屋は改めて特集できるくらいいますな。ゼーガーとエバンスの「西暦2525年」なんてのもあったっけ。

 で、続いてお送りするのは逆にヒット曲は一杯あるのに何故か我がポンニチではぱっとしなかったというか、本国ほどの評価を得られなかった人。そうです、ニールです。ニールといってもヤングじゃない(ベンベン)、もちろんセダカでもない(ベンベン)、そ・れ・は・誰かと尋ねたら、デーヤモンド、じゃなかったダイヤモンド、ダイヤモンド。失礼しました。ニール・ダイヤモンドで「スィート・キャロライン」をどうぞ。



 この人、アメリカでは押しも押されぬスーパースターだけど、何故か我が国では評価が低いというかほとんど無視されている。個人的にはリチャード・バックの小説「かもめのジョナサン」のサントラが非常に気に入っていてます。そうそう、旺文社の大学入試ラジオ講座のテキストにこの「かもものジョナサン」出ておりました。親に受験勉強のテキストを買うからといってお金をせしめ、ペーパーバックを買って、残ったおつりでLPレコードを買った高校時代を思い出します。そういえばこの人の曲をハードロックにアレンジしたバンドもおりました。



 第1期のDPですね。リッチーは既にこのころから瞳に狂気を帯びておりました。ロッド・エバンスのボーカルはクールでカッチョ良かったです。この後のキャプテン・ビヨンドも2枚目のアルバムまでは凄かったけど、3枚目にボーカル変えて出したのはもうアウトでした。それでも大いに期待してレコードも買って、確か当時やっていたミニコミにレコードレビューを書いたよな…。

 おっと、話がヒットポップスからそれてしまったので、ここでもう一人。日本ではかなり過小評価されているシンガーというかギタリストというか、世の中、こんなに凄い人がいたんだということで、ホセに登場してもらいましょう。ホセといってもメンドーサではありません。盲目のシンガー、ホセ・フェリシアーノです。曲は「雨のささやき」といいたいところですが、何故か「Feliz Navidad(フェリス・ナヴィダ)」。いや、この曲ラジオで1回聞いただけで強烈に印象に残った曲なんです。



 YOU TUBEというのは大変便利なもので、こうやって懐かしい歌や演奏の動画を見られるだけでなく、その曲に関するいろんな人の思い入れやエピソードを知ることができる。恥ずかしながらこの歌のタイトルの意味がスペイン語で「メリークリスマス」という意味だとはでんでん知りませんでした。いやーためになるなぁ。というところで、おい、綺麗どころはどうした、という声が聞こえそうなので、雨つながりでジリオラ・チンクェッティの「雨」をどうぞ。



 イヤーこの人、こんなに綺麗だとは当時は全然わかりませんでした。これもYOU TUBE様様です。というところで、今回のエントリーはお終いです。続きは勿論やります。そうそう、最後に清志郎の追悼本のまえがきで僕が一番感動した部分を最後に書いておきます。
『…僕(注:渋谷氏)がそんな事を言っても、無論耳を貸さなかった。一度だけ、暑中見舞いに、一言「君の意見も分かるよ」と書いてきた事があった。とても嬉しかった記憶がある』。感動したのは渋谷氏の正直な書き方と、清志郎はちゃんと暑中見舞いを出す人だったんだ(まあ、手紙に印鑑押す人ですから)、というところです。

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