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余は如何にしてレンタル主義者と成り果てたか。

Bob Marley & The Wailers
 料金半額セールだったので、久し振りに子供たちと一緒にTSUTAYAに行った。いつもは家族と一緒の時には何も借りないのだが、今日は前回来たときに入荷をチェックしていた”ボブ・マーレィ&ザ・ウェイラーズ”の”アップライジング”(写真のジャケット)を借りてしまった。

 ここ何日かの日記の中で学生時代のことを書いていた事が、頭のどこかに残っていたのだろうか。このアルバムはボブ・マーレィのラストアルバムで、この作品の発表後、彼は病のためにこの世を去る。アルバムの発表は80年だが僕が手にしたのは81年、大学を中退し失意の中で市役所の臨時に通っていた頃だ。今ではみんな忘れたかもしれないが、当時はレンタルレコード店というのがあった。まだアナログの30センチLP盤の時代で、アルバム1枚が2,500円から3,000円する時代だったがその頃はお金を出してレンタルという発想は全く無かった。せいぜい友達同士の貸し借りである。それもある程度気心の知れた人間でないと、こちらが大事にしているレコードのジャケットを汚されたり、ライナーノートがしわくちゃにされたり、ひどい時は盤に傷をつけられたりする事もあった。そのことが理由で人間関係にひびが入ったりすることもざらにあった。

 ところがそんな状況の中、いやそんな状況だからこそというべきかそれまで購入か中古の売買、または友人同士の貸し借りでしか入手できなかったレコードをビジネスとしてレンタルする会社が出てきたのだ。学生の起業の走りではなかったか。当時僕はこのレンタルという考え方が不愉快で、欲しいレコードは何としてでも買う(お金が無いなら働く、節約する、貯めるetc…)。欲しくない物は買わない。これが本当のロックファンだなどと突っ張っていた。

 本当にそのレコードが欲しければ、何としてでも買ったのだ。高校生の頃は親に参考書を買うとか、服を買うとか言って初めの頃はお金を手に入れていたが、その手の嘘はすぐにばれる。次に考えたのは昼飯代を何百円か貰い飯を抜く。ただ何も食べないともたないので、雪印のヨグールを買って昼ごはんの代わりにしていた。何故そんな物をと思うかもしれないが、何となく栄養がありそうだったのとコマーシャルが好きだったからだ。今また思い出したが、高校の同級生で髪を切るのが上手い奴がいてそいつに髪を切らせて、親には床屋に行ったと言ってお金をゲットしたこともあった(その彼は今お医者さんをやっている。もったいない話だ、ン?)

 そういう思いをしてアルバムを1枚1枚購入したので、聴き方も半端じゃなかった。買って何度か聴いても気に入らない事もある。そういうときは気に入るまで何度も何度も繰り返して聴いたり、歌詞の意味を調べたり、参加ミュージシャンにスーパースターがいないか、つまり投資したお金の価値をなんとかしてプラスにもって行こうとしたのだろう。もちろん音楽であるから当たり外れは付き物で、当時の大枚2,000円をはたいてどこを探してもにっちもさっちも行かないレコードに当ったときは大げさではなく眼の前が本当に暗くなった。

 そういう気に入らなかったレコードや、もういい加減聞き飽きてしまったレコードをどうするか。新譜レコードや、興味のわくレコードは増える一方だ。そうだ、交換すればいい。早速ミッシェルレコードカンパニー(略してMRC、何故ミッシェルかというと、その頃僕はミッシェル・ポルナレフの大ファンだったのだ)というのをでっち上げて、高校のロック好きに片っ端から声をかけた。また僕は中学校2年までN岡市に住んでいたのでそのころの友達にも手紙を出して呼びかけた。

 この方法は良かったが、いかんせん交流範囲が狭いので音楽の傾向が偏ったり、同じレコードがダブついたりする。そこで次に眼をつけたのが当時出ていた音楽雑誌。ミュージックライフはミーハーだったので音楽専科という雑誌の『レコード売ります・買いますコーナー』に投書しルートを広げたのだ。今のようにメールがあるわけでもないし、電話番号すら解らない(仮に解っても電話料金がとんでもなく高かった)ので情報交換は全て郵便、封書。しかも現物先送りだったが、これといって事故は無かった。性善説が生きていた時代だったのだ、ただしロックファンの中だけだが。

 ここまで書いてきて、ボブ・マーレィがどこかに行ってしまったことに気付いた。最初は81年という失意の時期に聴いたこのアルバムの話を中心にした音楽ブログにするつもりだったのだが、昔話に花が咲いてしまった。いかん、いかん、が今更書き直すのも大変なので今日はここまでで許して。また気が向いたらこのときの話アップしますので。

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コメント

懐かしい~ レンタルレコードありましたね(^.^)
M崎市ではレイコウドウがありました!!
学生の頃、帰宅途中によく足を運んだものです。
アルバムの長さにカットしたカセットテープにダビングしていた事を思い出しました。それに、レタリングシートを買ってカセットレーベルも作っていましたよ。今では、全てがPCで作成できちゃうんですね(^^)v 便利な世の中になりました。
あと、FM STATIONを買ってエアチェックもしていましたね。
若かったなー、たぶん中学生の頃だったよなー、まだ汚れてなかったよなー・・・ですよ。
お金も無く、不自由な時代でしたが、貪欲に好奇心を満たそうとしていた頃の思い出です。


実はこのアルバムは、

そのレイコウドウでレンタルしました。市役所のバイトが終わって帰り道に寄って、たしかブルーズブラザースのサントラと一緒に借りた記憶があります。カセットをカットするやり方は知らなかったので、アルバムの長さに合うテープを買ったり、録音時間が余る時は今で言う”ボーナストラック”を勝手に入れてました。カセットには自分でお気に入りの写真をそれこそ『音楽専科』あたりから切り抜いて入れてました。いやーアナログ万歳の頃だったな。
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1975年5月から1981年3月まで、眺め続けた景色から時代と文化が見えてくる。混迷と停滞の時代を撃つ、はずはない。

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